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奈良県の最南端、和歌山県とのちょうど県境に十津川村という村があります。電車が通っていないため交通手段は車かバスで、どちらにせよ村まではぐねぐねと曲がった山道。辿り着くと、そこは山々に囲まれた、まさに「秘境」という言葉がぴったりの場所です。

そんな十津川村で人気の観光スポットが谷瀬の吊り橋です。長さ297.7m、高さ54mという、生活用の鉄線吊り橋としては日本一の長さ。記者は新年早々、友達に連れられてこの吊り橋を渡ってきました。高所恐怖症のうえ、乗り物酔いしやすいのに……大丈夫なのか私!?

道中、少し車に酔ってしまったものの、何とか無事に十津川村に到着。「さあ、こい! 吊り橋!」と意気込んでみましたが、実際に見ると想像よりも長い!!! そして、正月にも関わらず、なぜか観光客が結構多い!!! 渡りきれるのか不安……。ちなみに、吊り橋は無料で渡ることができますが、車で訪れた場合は駐車料金500円が必要です。

恐る恐る歩を進めると、そのたびにゆらゆらっと吊り橋が揺れます。記者の前を歩いていたおばさんが、「怖すぎる! お姉ちゃん、先に行ってええで!」と……いやいや、私も怖いです……。

半分ぐらい進んだところで、船酔いのような感覚に。だって、みんなが歩くたびにゆらゆら揺れるんだもん!!! おまけに、足元に目をやると、床板の間から吊り橋の下を流れる熊野川が見えるんだもん!!! 戻りたい衝動にかられますが、ここまできたし……と前進。ゆらゆらと橋が揺れ、ギシギシと床板がきしみ、ピューピューと冷たい風が吹きます。

やっと向こう岸に辿り着き、ホッとしたのも束の間。もしかして、また戻らないといけないのでは!? 吊り橋の監視員の方に、他のルートで帰れないか聞いたところ、「吊り橋を渡らずに向こう岸に行くルートもあるが、歩くと40分ほどかかるよ」と言われ……。怖がらずに歩けばそんなに時間はかからないはずなのに、約15分かけて渡りきりました。

「谷瀬の吊り橋」は昭和29年に作られたもので、もともとは生活用の吊り橋として架設されました。上野地地区と谷瀬地区を結んでおり、村民のみなさんは今もこの吊り橋を日常的に利用しているそうです。リスペクト、十津川村民!!

十津川村といえば、源泉かけ流しの温泉も有名。温泉でほっこりした後、意中の人と吊り橋を渡れば、「吊り橋効果」でラブラブになれるかも!? 大自然とスリルを満喫しに、足を運んでみてはいかが。

(写真・文=夢野うさぎ

▼十津川村の人気観光スポット「谷瀬の吊り橋」。両端に監視員の方がいます

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▼大自然の中に吊り橋があります。一度に渡れる定員は20名です

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▼足元を見るとこんな感じ……吊り橋の下を流れる熊野川が見えます

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▼床板の隙間からも見える……

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▼吊り橋の上から見た風景

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十津川村