アメリカのみならず世界中に強い衝撃を与えたボストン爆発事件。その背景や犯人像がいまだ公式に伝えられないことなどから、この事件についてのさまざまな憶測が広がりつつあります。
そんな中、TwitterやFacebookなどを中心に、この事件についての真実ではない話……デマが飛び交っているようです。以下のような話を見聞きした場合、不用意に拡散させてしまわないよう注意が必要です。
・犯人像を特定する話
アメリカの捜査当局から、犯人に関する具体的な像は4月18日現在、発表されていません。「どうやら○○人らしい」「○○な特徴がある」といった犯人像に関する話は、ひととおりデマであると考えてよいと思われます。こうした話は、人種間のいわれなき攻撃である場合もあるので、きちんとした報道があるまではひととおり、信用しないほうが賢明でしょう。
・ツイートで募金ができる
ツイッターを中心に飛び交ったデマ、というより何者かのイタズラ。「このハッシュタグをつけてリツイートすることで1ドルの募金ができます」といったものですが、4月18日現在そのようなものは正式に立ち上がっていません。なお、この件にからんで、「 @_BostonMarathon」というアカウントがTwitterサイドから凍結措置をとられています。
・恋人がゴールした後にプロポーズをしようとしていた男性の話
「マラソンに参加した恋人をゴール付近で待っていた婚約者。しかしその恋人は爆発で亡くなってしまった」というとても悲しいストーリーがネットを中心に日本でも拡散していますが、これはデマだったようです。このデマと一緒に広がっている、「地面に横たわる女性と顔を寄せる男性」の写真は、ボストンの地元紙である「ザ・ボストン・グローブ」紙が「歩道上では男性が被害者を励ましていた(This man comforted one of the victims along the sidewalk.)」として掲載したものです。
なお、この件は中国の新聞「人民日報」が記事化したことで日本でも報じられたようですが、アメリカでの事件に関して中国を情報源とすることの是非は検討すべきかもしれません。
そのほかにも、現地では「ジョン・F・ケネディ図書館も爆破された」(実際は無関連なボヤ)、「ビルの屋上に不審な男がいた」(そう言われた現場はテラスつきの高級マンション)、「サンディフック小学校銃乱射事件で助かった子どもが巻き込まれた」(何の根拠もなし)などといったデマが流布している模様です。また「このCNNの記事を読んで」という文言とともに怪しいサイトへのリンクが張られたフィッシング詐欺と思われるスパムメールも盛んに飛び交っています。
大災害やテロなどといった社会的混乱のなかでは、誤った情報=デマが広がりやすいものです。けれど、他人から伝わってきた不確かな情報をきちんと確認しないまま誰かに伝えたりブログやTwitterで流すことは、デマを広める役を自ら買って出ていることにほかなりません。えらそうにこんなふうに書いている自分もいつデマを流す側にならないか心配でなりませんが、少なくとも「あやしい情報は流さない」と心に決めておくことが大事なのだと思わされた一件でした。
参考元:The Stir
(文=纐纈タルコ)
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