
2011年3月11日に起こった東日本大震災。丸3年たってなお、被災者の心のケアなど様々な課題が残る一方、新しい生活が軌道に乗ってきたり、自分たちの持つ伝統や地域の魅力に気づいて活動を始めたりする被災者の方々がいます。
震災で変化があったのは被災地にすむ人だけではありません。さまざまな人に話を聞くなかで語ってくれた「震災後に変わったこと」を紹介します。
【仕事を変え、自分の信じる道に進むことにした】
「震災以前には外資系コンサル企業に勤めていました。仕事はそれなりにおもしろかったけれど、『本当にやりたいことはほかにある。でも今は勉強するときなんだ』と考えていました。
でも震災が起こって徒歩で家に帰る間に思ったんです。自分の人生は、いつ自分の本当にやりたいことを始めるべきなのかなって。未来はどうなるかわからない。それなのに、いつまでも勉強のつもりでいていいのかなって。それですぐに辞表を提出し、NPOを立ち上げることにしました」(東京・団体職員・男性・33歳)
【幸せをはかる物差しが変わった】
「あまり人には言っていなかったですが、震災前は『大金持ちになって、高層マンションに住み、高級車に乗るようなセレブライフを送る』というのが、自分としては最高の幸せイメージでした。だから、お金持ちになりたいと思っていたのです。
ただ、震災後、桜が咲いたのを見て、幸せってセレブライフだけではないなと思うようになりました。今は、ご飯を家族でゆっくり食べたり、友人と楽しい時間を過ごしたり、きれいな景色を見たりすることも等しく『幸せ』のイメージ。幸せをはかる物差しが変わりました。」(埼玉・事務・女性・24歳)
【もっと丁寧に生活しようと、仕事量を調整するようになった】
「忙しいからと、洋服をきちんとたたまなかったり、親戚付き合いをおろそかにしたりと、いろいろなことをおざなりにしてきていました。常に忙しかったのに、何となく『この忙しさは一時的なものだからとりあえず今はとりあえず間に合わせればいい』と考えていたのです。
しかし震災が起きて、『毎日の生活が私の人生を作っているんだな。そしてそれはいつか終わるんだな』と考えるようになりました。丁寧に生活できるくらいに仕事量を調整するようになりました。(埼玉・自営業・女性・28歳)
【仕事第一主義だったが、家族第一主義になった】
「震災前は仕事が生活の何にも増して大事だと思っていました。土日出勤、深夜残業は当たり前。子供との約束を仕事の都合で破ることもしょっちゅう。ちょこっとした胸の痛みは感じていましたが、大きなことだとは思っていませんでした。
しかし、震災の日に大きな揺れを感じて、最初に思ったのは『家族は大丈夫なのか』ということ。恥ずかしながら、家族がいる意味をそのときに初めて意識したのです。それからは仕事よりも家族第一主義。もちろん、仕事仲間や仕事相手に迷惑をかけないことは基本ですが。」(東京・金融・男性・34歳)
【新聞やテレビ、ニュース、ネットの言葉に振り回されすぎず、自分の尺度で考えるようになった】
「震災後、情報が錯綜して混乱しました。海外に住む知人友人からも悲鳴のようなメッセージが届いたりして。いろんな人がいろんなことを言うし、国が違うと報道も違うようだし、どの情報を信じたら良いのかわかりませんでした。
1カ月くらいは頭の中が混沌としていたのですが、気づいたんです。けっきょく、自分が良いと思う情報や考え方をその時々で選んで決めていくしかないんだって。情報に振り回されず、自分の尺度で考えるようになりました。」(東京・自営・46歳)
【助け合って生きていかなくちゃと、地域の人の生活を考えるようになった】
「正直、ご近所との関わりなんてめんどくさいと思っていました。でも、震災の日、パニックになって外に出てエレベーターに乗ろうとしていた私に同じマンションの方が『危ないから、エレベーターに乗ってはダメよ』と話しかけてくれ、ひとりで不安ならうちに来ないかと誘ってくれました。人間は助け合って生きていくものなのだと強く実感しました。
それからは、地域の人の生活をちょっとずつ手伝おうと思って、雪が降った日には周りの家の方までちょっと余分に雪かきしたり、地域の行事にたまには参加したりするようになりました。」(東京・主婦・女性・27歳)
皆さんは、震災を経て変わりましたか? 震災を機に何かが変わった人にとって、震災は他人事ではなかったし、今でも他人事ではないのですよね。
撮影・執筆=FelixSayaka (c)Pouch
Felix清香
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