《あぜ道》
( 1991年/ パネル、和紙、岩顔料、アクリル絵具/ 73×52cm/ 豊田市美術館蔵 )
ツインテールの少女の後頭部の髪の分け目と、田んぼを区切る道がつながったように見える作品。中学校(もしくは高校)の美術の教科書で、これを目にした読者は多いことでしょう。
その絵の作者は、会田誠(あいだ まこと)。
日本最高峰の芸術大学である東京藝術大学油絵学科を卒業後、美少女をモチーフとした作品等を多数発表。近年では六本木の森タワーの最上階に位置する森美術館にて個展『会田誠展: 天才でごめんなさい』が開催されるなど、数々の偉業を成し遂げている、日本の現代アートの重鎮作家です。
ということで! 「女性」を「芸術的」にも「男性性的」にも愛し続けている現代アーティストの会田誠さんに、屁理屈ぬきの「男女のこと」をおうかがいしましたよ!
今回は、「言葉にするのもバカらしいくらいの、男性が女性にマジで惚れる場合」についてお伝えします!
都内ではない某所。ところどころ白髪が混じり、少しだけ西欧人のような顔立ちをしたダンディーな雰囲気の男性と落ち合った。会田誠氏である。
挨拶もおろそかに、さっそくインタビューを開始する記者(私)。もちろん、内容は屁理屈ぬきの「男と女」のことである。
――漠然としていて申し訳ないのですが、男性が魅力を感じる女性って、どんな人でしょうか?
会田誠(以下、A):答えにくいなぁ(笑)。僕は、これから成長が始まるって瞬間みたいな女の子……女としてのビッグバーンが始まった瞬間の、0.1秒後に膨張し始めた「美」が一番魅力的だ、というようなことを口酸っぱく言ってきたような男だし……つまり理想は14歳とかよく言うんですけど、しかしこの読者にはあまり14歳はいないですよね?
――たぶん成人女性が多いと思います。
A:それを踏まえたうえで答えると、僕が思う魅力的な女性は、充実した会話ができる人。これはかなり重要。で、それはまるで自分の方が知性が上で、俺の知性についてきてくれないと嫌だ、という上から目線ではなくて。昔の青かった自分を省みても、やはり会話が面白いというか充実する女性の方が思い出深い存在になるし、「あの子とこういう会話したなー」という、会話の記憶は結構残っているんです。それが、自分の作品に間接的に反映されることもある財産だったりもしますね。
――感性が重要ということですか? 「自分はこんな風に物事を捕えなかったからハッとした」みたいな。
A:それもあるけど、会話はキャッチボールだからね。知識が多いに越したことはないかもしれないけど、自分が日頃思っていることを申し述べれば良いわけでもない。個人差はあれども、男が見た目で女性を選ぶことは否定しがたいのだけど、見た目が全てではないし、見た目が良くても会話すればするほど退屈な気持ちにさせる女性は飽きてきますよ。
――見た目がキレイにこしたことはないけど、話すことの内容が魅力的な女性に男性は魅かれる、と?
A:話すことの内容ではなくて「会話」だね。ひとりで一方的に魅力的なことをしゃべって、男をただの「聴衆」にしたってダメなわけで、お互いの会話を50:50のパッケージ化にできる相手だと、得がたいなって思うようになりますよ。だから、付き合ってみても一向に会話が面白くならない人たちは早く別れた方がいいんじゃないの?(笑)結婚とかすると人生長いしね。
話の腰を折って悪いけど、安定期に入った男女の「愛の時間」――つまりセ××スに要する時間というのは、俺の主観からするとせいぜい30分だと思うんです。1日は24時間。計算すると、愛の時間は48分の1。毎日デートするわけでもない。そうすると、純然たる愛の時間は100分の1とかであって、男女がそれ以外の時間に何をするかといったら会話をするわけですよ。会話の時間の方が圧倒的に多い。だから、会話が充実できないと続かない、と。
――確かにそうですね。俳優の黒田勇樹さんも、同じようなことを仰ってました。
A:要は、有意義で充実した時間を過ごせるかどうかってことだよね。限りある俺の人生の時間を無駄にする女だ、と思ったら、どうやって別れようかなーと思うんじゃないですか?男は。例えルックスが良くてもね。
――てことは、すごく簡単にまとめてしまうと、女性はルックスよりも中身が大事、と?
A:うーん、まぁ僕がルックスを重視しないのは…うーん、僕だからかもしれない。
――どういうことですか?
A:ロリコンだから(笑)。ロリコンっていうのは、恋愛に関して割り切りがあるんですよ。なぜかというと、14歳の少女のルックスがマックスだという考え方なんです。でもそれと付き合うわけにはいかない。その「美」をリスペクトするしかない。だから生身の女性に「理想の美」を求めてもしょうがない、ということになる。美しい生物ほど、傷んでいくのが早いんですよ。これが熟女好きだと、ゆっくり熟成の美を楽しめたりするんでしょうが(笑)、われわれロリコン業界は、見た目の美は別物としてあって、それと人間的魅力は別だ、という考え方です。
――愛でるのは理想の美で、愛するのは現実の女性だと。ちゃんと折り合いはついていると。
A:そうそう。暮らすのは妻でイイや、と(笑)。妻も、毎日のように不安に襲われるようで、「私のことはどうなの?」って聞いてくるので、その度に僕は「妥当だ」と言っています。
――はぁ。でも、妥当って悪い言葉ではないですよね。「君が最高だよ!」とか言われるより真実味があってイイ。
A:でしょ? 最高なんてさ、必ずそこから落下があるよね。
「会話すればするほど退屈な気持ちにさせる女性は飽きる」、「美しい生物ほど、傷んでいくのが早い」などの数々の名言が生まれた会田誠さんへのインタビュー。
次回は、「美術館デート」についてお伝えします!
取材・撮影・執筆= シマヅ (c) Pouch
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