【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのは成田凌と清原果耶が主演する、かみ合わない男女のラブストーリー『まともじゃないのは君も一緒』(2021年3月19日公開)です。
若き演技派のお二人だけあって、丁々発止の掛け合いがめとても面白い映画でした!
では物語からいってみましょう!
【物語】
香住(清原果耶)は、恋愛知識は豊富だけれど、恋愛経験はゼロという頭でっかちな高校生。
彼女が通う塾の講師・大野(成田凌)は、数学一筋でコミュ力ゼロの男。香住はひょんなことから、大野先生に普通の恋愛をレクチャーすることになります。
変わり者と言われながらも、普通に恋愛して結婚したい大野先生は、香住の提案に乗り気の様子。
しかし、恋愛経験ゼロの香住の知識はネットで集めた浅いものゆえに、事態はおかしな方向へと走り始めるのです。
【頭でっかちの恋愛オンチ女子と屁理屈ばかりのコミュ力ゼロ男】
とにかく主演の男女のキャラクターが最高でした! 成田凌&清原果耶、ふたりとも美男美女なのに、普通じゃない頭でっかちでクレイジーなキャラクターを怪演するあまり、ルックスの良さなどどこかに吹き飛んで、ただひたすら香住と大野の丁々発止のやりとりに大笑い!
「イケメンなのにそのダサイ服、何とかしなさいよ」「理屈っぽ過ぎ!普通の会話ができないじゃん」など、大野にダメ出しをする香住。
そのたびに「この服、いいだろう、安かったんだよ~」「普通って何?教えてよ」と大野が返し、ああいえばこういうといった風の会話がマシンガントークで飛び出してくるのです。
そもそも香住は大野に「普通じゃない」と言うけど、彼女も普通じゃないんですよね。だから同級生の間でもちょっと浮いていたりして……。
とにかく二人の個性が強すぎて、会話が全部、漫才みたい。
軽快なテンポでポンポンとやりとりする会話のキャッチボールが本作のキモ! 観ているこちらもホイホイ乗せられていってしまいます。
【キモかっこいい成田凌!】
そしてこの映画では、またもや進化した成田凌さんが見られます。
大野は数学の研究に没頭してきたため、頭脳は明晰だけど、世間知らずな男。
自分で自分の言っていることにウケて、ウヒャウヒャと変な笑い方をする姿とか、見た目かっこいい系なのに実に残念な男なんですよ。
この絶妙な変人感、キモかっこいい男っぷりが、たまりません!
この手のキャラクターを演じて成田さんより魅力的に演じられる役者っていないんじゃないですかね。
後半、普通の恋愛ができるように少しずつ進んでいく姿は、変人からの脱皮を感じさせてグっと心引き寄せられます。『窮鼠はチーズの夢を見る』に続き、成田凌、絶好調です!
【清原果耶の生意気JKぶりが秀逸!】
成田凌さんと丁々発止のやりとりをする清原果耶さんも素晴らしかったです。
「普通の恋愛をさせてあげる!」と、恋愛大作戦を立てて実行していたのに、意外にも大野先生がターゲットの女性とうまくいきそうになると、香住は突然、嫉妬し始めて「失敗しろ!」なんて念じるように言うんですよ。
他の女性と一緒にいる先生がかっこよく見えてきちゃったんですね。恋愛経験ないもんだから「好き」がわからず、心がゴチャゴチャに混乱しちゃう香住、ちょっとわかるなその気持ち……。
風変りな役をリアルに感じさせたのは清原果耶さんが演じたからこそです。
【小泉孝太郎のゲスっぷりにも注目】
さて、この映画の脇のキーパーソンは青年実業家の宮本(小泉孝太郎)です。
香住がずっと憧れている人で、彼女に希望を持たせてくれる夢のあるメッセージを発信。その言葉に感銘を受け、香住は熱心に著作本を読んだり、講演会に足を運んだりしていていました。
ところが、この宮本が実はとんでもない男なんです。
詳しくは映画を観ていただきたいのですが、もともと品のある小泉さんがひょうひょうと香住に対してゲスな言動をして、天然ゲス男としてけっこう笑いをかっさらっていきます。
小泉さんのベストパフォーマンスにも注目です。
普通じゃない二人が、恋愛に挑戦をして、悪戦苦闘しながらも「人を好きになること」を実感していく、ちゃんと成長していく姿がとても微笑ましくもある本作。
早くも今年ナンバーワンのラブコメとなりそうな『まともじゃないのは君も一緒』で恋愛オンチたちの暴走劇を楽しんでください。
執筆:斎藤 香 (C)Pouch
『まともじゃないのは君も一緒』
(2021年3月19日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:前田弘二(『婚前特急』 『わたしのハワイの歩きかた』)
脚本:高田亮(『婚前特急』 『そこのみにて光輝く』)
出演:成田凌 清原果耶 小泉孝太郎 泉里香
©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会
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