【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは大ヒット映画『スマホを落としただけなのに』(2018年)の続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(2020年2月21日公開)です。主演は前作で事件を解決に導いた加賀谷刑事を演じた千葉雄大さん! 共演は成田凌さん、乃木坂46の白石麻衣さんというスターがそろいました。面白かったですよ~!! では、ご紹介していきましょう!

【物語】

連続殺人事件の犯人、浦野(成田凌)を逮捕した加賀谷刑事(千葉雄大)でしたが、その後、再び同じような連続殺人が発生。捜査は難航し、加賀谷は上司より、刑務所に囚われている浦野に会ってくるように命令されます。浦野は「自分にネット犯罪のすべてを教えたMが怪しい」と告げ、自分ならヤツに近づけると、加賀谷に囁きます。一方、加賀谷の恋人の美乃里(白石麻衣)は、謎の人物に付け狙われていました。謎の男とMの関係は? その目的とは……。

【前作『スマホを落としただけなのに』のおさらい】

『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』を楽しむために、できれば前作を観てほしいところですが、観る時間のない方のために、サクっとあらすじをおさらいしましょう。(以下、前作のネタバレをしていますので要注意!)

恋人の富田(田中圭)が落としたスマホを拾ってくれた男から、彼の代わりにスマホを受け取ることになった恋人の麻美(北川景子)ですが、その男=浦野は、スマホに保存された画像の麻美が気に入り、彼女に執着し始めます、長い髪の女に固執している浦野は、すでに富田のスマホから麻美の情報を入手。言葉巧みに麻美に近づき、誘拐監禁! しかし、捜査を担当した加賀谷刑事の活躍で、浦野は逮捕されるのです。

というのが前作のストーリー。本作では再び続殺人事件が起こり、その事件を追いかけつつ、前作で軽く触れられていた加賀谷と浦野の謎めいた過去や加賀谷と美乃里の恋の行方が描かれます。

【千葉雄大の様々な表情が見られる!】

前作では助演だった千葉雄大さんが本作では主演に昇格! 良かったですよ~!

千葉さんはかわいい男子の代表のように言われていますが、本作はシリアスなミステリーゆえに笑顔は封印。しかし、それでもあふれ出す可愛さがあるんです。やり手刑事らしい精悍な表情から、美乃里に「ここで私にキスして!」と迫られて困る顔、浦野の推理に驚く顔、自身の悲しい過去を思い出して苦しむ顔など、千葉雄大のさまざまな表情が堪能できます。

本作の千葉さんは、美乃里や浦野たちにさんざん振り回されるので、意外と受け身の芝居が多いんですよ。だからこそ表情の変化が重要で、千葉さんはしっかり応えて大熱演しておりました!

【傑作ミステリー『羊たちの沈黙』の影響と成田凌の狂気の芝居】

千葉さんとは対照的に、ものすごい汚れ役を演じきっているのが成田凌さんです。前作では、女性のロングヘアに固執するあまり、自分もロンゲになっていましたが、本作ではシルバーヘアで登場です。

サイバー犯罪の知識量がハンパないため、警察に頼られる囚人役。この設定は、ミステリー映画の傑作『羊たちの沈黙』の女性刑事が、元精神科医の連続殺人犯にサイコパスの心理分析を協力させる展開と同じで、女性刑事の過去をほじくり返す設定までソックリでした。唯一違うのは、浦野と加賀谷が親に虐待されていたという同じ過去を背負って苦しんできたこと。それで二人はバディのような関係性を築いていくのです。

ちなみに、そんな浦野を演じる成田さんは、登場シーンから狂気の世界へとトップスピードで突っ走ります。加賀谷とのシーンでは、話をはぐらかせたり、ネチネチと過去をほじくり返したり、まさにドS! そんな浦野を成田さんは楽しそうに演じていました。

【スマホは便利だけど情報流出には要注意】

前作を見た後「スマホを落とすと、とんでもないことになるな!」と思いましたが、本作はアカウント乗っ取りや情報の流出の怖さを描き、ネットの怖さにゾゾっとしました。

フリーwi-fiの利用をきっかけに遠隔操作ウィルス仕込まれてしまったり、仮想通貨ビジネスの成功者の通貨が流出して失脚してしまったり、クリックひとつで人生を変えられてしまう恐怖! 本作鑑賞後、スマホでパスワードを入れるとき、周囲を見渡すようになりましたよ。妙に疑心暗鬼になってしまいますが、それくらい慎重でいいかもしれません……。

映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』は、千葉雄大、成田凌、白石麻衣(美しかったです!)という人気俳優を見る楽しみに加え、ミステリーの構成も二転三転。最後まで飽きさせません。正直、ツッコミどころもあるので、そこも含めて観た後、いろいろ語り合いたくなる映画と言えるでしょう!

執筆=斎藤香 (c)Pouch

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼
(2020年2月21日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:中田秀夫
原作:志駕晃「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(宝島社文庫)
出演:千葉雄大、白石麻衣、鈴木拡樹、音尾琢真、江口のりこ、奈緒、飯尾和樹(ずん)、高橋ユウ、ko-dai(Sonar Pocket)、平子祐希(アルコ&ピース)、谷川りさこ、アキラ100%、今田美桜(友情出演)、田中哲司、北川景子(特別出演)、田中圭(特別出演)、原田泰造(特別出演)、成田凌、井浦新
(C)2020映画「スマホを落としただけなのに2」製作委員会

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