Qjo1小学校のとき、防災頭巾にトランスフォームする椅子のクッションや背当てを使っていませんでしたか? あんなイメージで災害時に非常に役立ちそうな自転車を、日本人が開発して、国際特許の出願公開までされました!

その自転車とはQ-jo(きゅうじょ)と呼ばれる、車椅子に変形させられる自転車のこと。なんと女性でも工具なしで2分以内に手軽にトランスフォームさせることができるし、一般の自転車と変わりない重さと操作性なので、平時には自転車として快適に使えるんですって。

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開発を手がけたのは、名古屋市で機械設置業を営む永山順二さん。2011年の東日本大震災の際、津波で亡くなった人のうち、高齢者や身体障がい者の人数はそうでない人の2.6倍。自力で逃げることのできない人々を置いて逃げるしかなかった被災者の方々の悔恨の気持ちを知った永山さんは「なんとか避難の手段を作れないか」と考えて、Q-joを思いついたんだとか。

もちろん通常の車椅子と同様、Q-joもがれきの山では使えません。しかし車が入れないような細い道でもQ-joなら入ることができ、救助活動を行えます。また通常の車椅子とは異なり、救助にかけつけるときには自転車で行けるというメリットも。加えて平時は自転車として活用できるので、車椅子を設置する特別なスペースを設けずにすみます。
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実はQ-joは平時にもいろいろと使い道があります。たとえば、買い物の際。自転車で買い物に行き、たくさん買いすぎて前カゴに入りきらなかったという経験をしたことはありませんか? そんなときもQ-joなら大丈夫。チャッと簡単に車椅子に変形させ、椅子部分に荷物を置けば良いのです。

2013年現在、日本の寝たきり老人の人数は85万人、在宅の身体障がい者は357.6万人。病気で動けない人を含めると、周りに災害時にQ-joがあれば便利だと思う人は非常に多いのではないでしょうか。そういった現実があるからか、現在たくさんの人、自治体が市販化を切望しているQ-joについて問い合わせをしてきているんだとか。

広報を担当する森弘さんは言います。

「日本人は『自分たちの命を自分たちで守る』という発想が弱いように感じます。そのため気軽に救急車を呼んで救助を求めますが、災害時には救急車は絶対にたりません。自分たちでできる範囲で備えて、自力で逃げるということを考えていく必要があると思います」

災害時に、子どもたちは椅子のクッションや背もたれをサッと防空頭巾に変形させ、それをかぶって自分の命を守る。若者はQ-joをサッと車椅子に変形させ、それを使って周りの老人や体の不自由な人の命も守る。そういう社会になったら、とってもかっこいい! 大手企業さん、作ってくださらないかしら。

【Q-joのついてのお問い合わせ】
広報担当:森弘さん Email : mori@aacl.gr.jp

取材協力、写真提供=永山順二さん(Q-jo開発者)、森弘さん(Q-jo広報)
取材、執筆=FelixSayaka (c) Pouch

▼南山大学のボランティアサークルでは、老人ホームにQ-joで出かけて、老人を車椅子に乗せて気分転換してもらい、また自転車に直して帰ってくるという取り組みをしています▼

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▼YouTubeで組み立てシーンが見られます。思った以上に簡単そう▼