
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは、2014年ベルリン国際映画祭で金熊賞(グランプリ)&銀熊賞(主演男優賞:リャオ・ファン)を受賞した中国映画『薄氷の殺人』(1月10日公開)です。猟奇的殺人事件を発端に、全ての事件に関わるある女性と、彼女を追いかける刑事の息詰まるサスペンスを鋭く描いた作品。スクリーンを支配する独特の世界観が実に見応えある作品です。
【物語】
1999年、中国の華北地方で猟奇的殺人事件が起こります。被害者の体のパーツが15か所の石炭工場で発見されたのです。刑事ジャン(リャオ・ファン)は、血まみれの洋服や身分証を見つけ、被害者を確定。そして容疑者も追い詰めますが、銃撃戦になり容疑者は死に、ジャンも負傷してしまいます。
2004年、妻と離婚し、刑事の職も辞したジャンは、警備員として暮らしていましたが、元同僚から、1999年の事件に酷似した事件が2件起きたことを知らされます。被害者はスケート靴を履いた足を切断され、1999年の猟奇殺人事件の被害者の妻ウー・ジー・ジェン(グイ・ルンメイ)と親密だったことがわかります。ジャンは客を装ってウーの勤めるクリーニング店を訪れ、この事件を解決させようと思うのですが……。
【殺人事件の裏に息づく人生】
猟奇的な殺人事件を描いた映画というのは世界中に存在します。でも「こんなの映画のなかだけ」と思いたいような残酷な事件が現実にも起こり、その動機が理解しがたいものだったり、「そんなことで?」と耳を疑うようなものである場合も多いのも事実です。
『薄氷の殺人』のディアオ・イーナン監督も、この映画製作に当たって、こんなことを語っています。
「私は常に普通の人々の生活を描く、こういった刑事物語の大ファンでした。長い間、そういう種類の映画を作りたいと思っていました。中国は今大きく変わりつつあり、信じられないようなことが起こっています。例えばいくつかの殺人事件はあまりにも非常識に思えますが、同時に我々の現実を正確に反映したものもあります」
殺人事件には動機が重要視されます。憎しみや復讐や欲望など様々な理由がありますが、それらはすべて、人生に深く根差したものでもあるのです。この映画も然り。殺人の行方はこうやって坦々と浮彫になっていくのです。そして真相には常に人間の情がからみあっているのです。そのからみあった糸を解すことができないから、事件は迷宮化し、複雑化していく……。殺人が抱く深い闇をリアルに映し出す力がこの映画にはありましたね。
【どこまでも生々しい映像と人物像】
『薄氷の殺人』はサスペンス映画ですが、エンタメ色は薄いです。銃撃戦や背筋が凍る恐怖はありますが、実際に起こった事件を見せているような、実録のような、そんな生々しさに満ちています。そのリアルさを物語るのはスクリーンから漂う寒さ! 劇場は暖かいはずなのに、この映画の凍えるような寒さ、冷気はスクリーンを通しても感じるほどです。
また主演の刑事のダメさも秀逸です。真相を追う執念深さは凄まじいのですが、被害者の未亡人ウーに惹かれてしまい、男としての欲望を抑えきれなくなるのですから。彼は別れた妻への未練も含めて、終始、孤独で寂しい狼のような男です。今思えば、この映画を全編貫く寒さは、刑事の心を表しているのかも。
また未亡人のウーも悲しいです。美し過ぎて不幸を引き寄せてしまうという薄幸の女。美しいが故の不幸もあるのです。こんな目に合うのなら美人じゃなくてもいいし……とさえ思いましたよ。
華やかな人生の正反対を見せられているような気持ちになる『薄氷の殺人』。スクリーンを支配する登場人物たちの手さぐりの人生や深い孤独や悲しみに身を委ねてみるのも悪くありませんよ。
執筆=斎藤香(c)pouch
『薄氷の殺人』
2014年1月10日より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
監督&脚本:ディアオ・イーナン
出演:リャオ・ファン、グイ・ルンメイ、ワン・シュエビン、ワン・ジンチュン、ユー・アイレイ
(C)2014 Jiangsu Omnijoi Movie Co., Ltd. / Boneyard Entertainment China (BEC) Ltd. (Hong Kong). All rights






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