main_large
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回は同名ベストセラーの映画化『映画 ビリギャル』(2015年5月1日公開)です。学年ビリの女子高生が1年間で偏差値を40アップさせて、慶応大学に合格したという実話の映画化です。

チャラチャラしたギャルがどうして勉強に目覚めたのか、どうやって学んで偏差値を上げて合格したのか……。そこには生徒と先生の関係だけでなく、子供と親、友達同士など、様々な人との関わりがあったのです。

【物語】

中高一貫私立の女子高に通うさやか(有村架純)は、遊びに夢中でまったく勉強しなかったため成績は学年ビリ! 見かねた母親(吉田羊)が学習塾に通わせると、さやかは小4レベルの学力しかないことが判明します。

ところがさやかはノリで第一志望は慶応大学と宣言! 周囲は困惑するけれど、講師の坪田(伊藤敦史)はさやかの性格を把握して、彼女のやる気をうながし、偏差値30から慶応合格のレベルまで引き上げていくのです。

【ビリギャルが人生を変える!】

『映画 ビリギャル』、見るまでは、女子高生が頑張って大学合格するまでをコメディタッチで描いた映画くらいに思っていました。が、しかし、試写で見てもうビックリ! これは中学生から大人まですべての人の心に響く映画だったのです。

何がそんなにいいのか? 彼女は自分が頑張ることで人生を変えることができるということに気付いたのです。勉強しないと内部進学もできないし、受験をしても受かる見込みはありません。

でも頑張ればレベルが高い大学に行ける、その大学に行けば、知識を得られる、そしていざ就職するときに選択肢が増え、世界が広がることがわかったのです。もちろん人生、大学進学がすべてではありません。でもビリから偏差値を40も上げて合格するまで頑張った事実は、さやかの人生において素晴らしい経験であり、誇れる財産になるのです。

【素晴らしい教育者が背中を押してくれる幸福】

そして、さやかにとって幸運だったのは、通っていた塾の講師が素晴らしい教育者だったこともあるでしょう。さやかの性格を把握して、徐々にやる気を促していくその手腕は見事です。

聖徳太子を「せいとくたこ」と読んでいた高校二年生。勉強よりも何よりも遊び優先だった女子高生に自信をつけさせたのが何より大きい! 正直、成績の上昇は亀の歩みでしたから、先生は胃がキリキリ痛むほどの苦労だったはず。なかなか合格圏内に入れませんでしたからね。

でもだた、やみくもに「勉強しろ」と言うのではなく、ひとつひとつ理解させながら進んでいったから良かったのです。また何のために学ぶのかわからないまま勉強することほどしんどいことはありませんが、さやかに目標を与え、人生を自力で切り開くことを講師が教えたからこそ、彼女は乗り越えられたのでしょう。

【一人の人間の変化が周囲も変える奇跡】

さやかが頑張る姿を見て、家族も変化していきます。頑固な父親も変わりますし、ギャルの友達も変わります。さやかに「お前は人間のクズ」とまで言った学校の先生も変わりますからね。何よりいつも味方だったお母さん(さやかは、あーちゃんと呼んでいる)が素晴らしい。陰でしっかり娘を支えて……あーちゃんの苦労は泣けます!

これは中高生はもちろんですが、どんな年代の人でもハっと気付きがあるはず。そしてお父さん、お母さん、学校の先生も必見。女子のみなさんは、将来母親になったときのために、あーちゃんの娘への接し方を覚えておくといいですよ。いいお母さんになれる術を伝授してくれますから。

この映画見ると、やる気が湧いてきます。そして学生時代に戻って勉強やり直したくなりますよ。

執筆=斎藤 香(C)Pouch
sub11_large

sub08_large

sub06_large

sub05_large

sub01_large
『映画 ビリギャル』
2015年5月1日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:土井裕泰
出演:有村架純、伊藤淳史、野村周平、あがた森魚、安田顕、松井愛莉、吉田羊、田中哲司ほか
(C)2015 映画「ビリギャル」製作委員会