デートスポットの定番、吉祥寺・井の頭公園。

お天気のいい日に、ボートに好きな人と乗れたら最高ですよね……。しかし「井の頭公園のボートにカップルで乗ると別れる」という、まことしやかに囁かれる噂があるわけです。なんでも池に祀られてる弁天様がカップルにヤキモチを焼くとかなんとか……。じゃあ、乗るか……。ぼっちで……。

毎月1のつく日(1日、11日、21日だけ)は「ステキなぼっちの日」です。Pouchでは担当ライターが体を張ってぼっちの限界に挑み、ぼっちの可能性を広げるべく、世の中のさまざまな場所でぼっちでも楽しく過ごせるかどうかを誠心誠意、検証しています!

というわけで今回は「井の頭公園のボートにひとりで乗って楽しめるか」です。

【賑わう初夏の井の頭公園】

私が訪れたのは6月の初旬。ちょっと蒸し暑いけど梅雨の間のよく晴れた日でした。公園につくと、気をつけないと人とぶつかりそうなくらいの賑わい。

池の方を見やると、ボートがうじゃうじゃ。こりゃあ並ばないと無理かな……と思いつつ、ボート乗り場へ急ぎます。

井の頭公園のボートは3種類。ひとつはノーマルな手漕ぎの「ローボート」、もうひとつは屋根付きで「サイクルボート」、そしてもうひとつがおまるみたいな「スワンボート」です。

【スワンボートなら大丈夫だろ…】

乗り場には漕ぎ方や定員について書かれた紙が貼ってありますが、どこにもひとりの表記がない。並んでいるのもカップルとファミリーばかり。不安に思い、スタッフに「ひとりでも大丈夫ですか」と確認すると問題ないとのこと。よかった……。

手漕ぎのローボートかスワンボートか迷ったけど、両手がふさがると撮影ができないため足漕ぎのできるスワンボートに。見た目もかわいいし、子供向けっぽいから大丈夫だろうと思ったのです。この判断が甘かったことは後にわかります。

乗る時に操作方法などの説明も特になく、なんとなく嫌な予感がするも「みなさんしばらくすると慣れるので大丈夫ですよ」と、いきなり大海原……じゃなかった、池にひとりで放り出されることに。

【生け垣に激突寸前に…!】

スワンボートに乗り込んでから気づいたのですが……。私、車の免許もってないし、自転車にも乗るのも苦手なんですよね。

まあ、どうにかなるだろ……と、とりあえずペダルを漕ぐと、いつのまにか私だけボートの群れから離れたところにポツンとひとり。目の前は生け垣!

おおおおおおお……このままでは生け垣に激突する! えーと、えーと、どうすればいいの……。ハンドルを左に? 右に? それともインド人を右に? 困っても池の上でひとり。私の頭の中だけタイタニック状態です。

しばし池の端で停止。どうにか舵をきるも、今度は橋に激突しそうに。このまま日が暮れたらどうしよう。池のほとりで写真を撮る人たちが「あの人下手だね、しかもひとりだよ」と笑っているように見えます……。

【気分はみにくいアヒルの子】

ペダルを逆に漕ぐと、後ろに進むことがわかったので、滑稽だなと思いつつ、バックして元いた場所に。ああよかった、ボートの群れに混ざることができた……と安心したのもつかの間。今度は孤独が襲いかかります。

私の運転がド下手クソな為、行きたい方向にまったく進めず、つい楽しげな人たちの邪魔をしてしまうのです。さらに、ぼっちボートは私以外ゼロなので、カップルや親子連れと目が合うたびに苦笑されます。ひいいい、スミマセン、スミマセン。生まれてきてスミマセン……。

乗ってるのはスワンボートですが、完全にみにくいアヒルの子。しかも、まだ全然遠くに行ってないのに、すでに25分経過しています。あと5分で戻らないと延長料金を取られてしまうではありませんか……。このままでは帰れなくなる。おぼつかない運転のため、遠くに行くのも恐ろしく、すれ違うボートからの視線も辛くなり、やむなくボート降り場へと戻ったのでした……。トホホ。

【25分も漕いでたのに近場をグルグル回ってただけだった】

ボートを返して、池を振り返ってから気づいたのですが、広大な池の中で、私が25分間で必死に移動したのは乗り場から10メートルくらいの超せま〜い範囲。ここをひたすらグルグル回ってたのかと思うと自分の運動神経の鈍さを呪うしかありませんでした。

誰にも助けてもらえない池の上の孤独は、生命の危機さえ感じました。弁天様はカップルだけでなく、ぼっち女子にも厳しい……と、ペダルを漕いで筋肉痛になった足と腰をさすりながら思うのでした。

孤独度 ★★★★★★★★★★★★
スリル度 ★★★★★★★★★★
ほっこり度 ★★

参考リンク:井の頭恩賜公園 
執筆=御花畑マリコ (c)Pouch