近年、各地の神社・仏閣を参拝して「御朱印」を集める「御朱印めぐり」がブームとなっていますよね。各社寺ごとに特色があり、集めた印影を一覧できる「御朱印帳」も、さまざまなデザインが販売されています。
では「風景印」というものをご存知でしょうか? 印というからには、こちらもスタンプ(はんこ)なのですが……。「風景印」は、意外なほど身近な場所で、御朱印と同じようにさまざまな図版を収集できるスタンプです。
その意外な場所とは……なんと郵便局!
【その土地ならではの消印「風景印」】
「風景印」とは、正式名称を風景入通信日付印(ふうけいいりつうしんにっぷいん)といい、それぞれの土地にゆかりのある風景や名所の図版が描かれた消印のことです。
そんな消印見たことも聞いたこともないよ!? と思う方もいるかもしれませんが、それもそのはず。
風景印はあくまでも「消印」なので、切手の上にしか押してもらえないハンコなのです。しかも「窓口で頼まなければ基本的には押してもらえない」ので、普通に郵便ポストから手紙を投函してるだけでは出会えません。
コレクションしたい人は台紙等に切手を貼り、窓口で「風景印を押してください」と頼んで持ち帰る「記念押印」というやり方で収集します。
一方、手紙などに「風景印を押して、そのまま出してください」と頼んで差し出すこと(引受消印)もできます。
【鎌倉は大仏、渋谷はハチ公、北見はカーリング!?】
さて、一体どういう ”風景” が印章に採用されているかというと……これがなかなか自由で面白いんですよ!
鎌倉の風景印には大仏、上野には西郷どんとパンダ、渋谷にはハチ公がいるし。そもそも、一般的な消印のような丸型ではなく、花の形をしたものや、土地の形をかたどったものもある様子。
北海道北見市の風景印に至っては、カーリング女子やゆるキャラが描かれていて、本当になんでもアリなんだな!? と驚いてしまいました。
風景印が配備されている郵便局・支局の数は、全国にざっと1万局以上(!)あるという事実にも驚き。てゆうか、郵便局にもっとアピってほしい! こんなイカす消印もあるんだぜってグイグイ来て!!!!
【特殊な場所の「風景印」もあるよ!】
実は宮内庁や、南極の昭和基地(!)など、一般人が入れない郵便局にもちゃんと風景印が配備されています。
これらの風景印は「郵頼」というやり方で、コレクションできるのだそう。
・62円以上の切手を貼り付けた台紙・ハガキ・封筒など(紙製のもの)
・押印する場所や希望する日付、差出人の情報などを明記した依頼状
・返信用封筒(宛名書き・切手貼付済みのもの)
上記を押印を希望する郵便局宛てに送付すれば、押印の上、返送してもらえるんですって。昭和基地の郵頼については年に1度一般公募があり、大変な人気なのだとか。
ちなみに昭和基地の風景印には「よちよち歩きで基地の前を横切るペンギン」が描かれております……かわいすぎだよおおぉおぉ!
【沼にハマる予感…】
「風景印」は、もともと切手収集や絵ハガキなどを好む「郵趣」という趣味をお持ちの方にはよ〜〜〜く知られているのだとか。
手製の御朱印帳ならぬ「風景印帳」を作って手作り市で販売するほど、熱烈なコレクターの方もいます!
土地ごとの特色がはっきりしているので、地元はもちろん、旅先での収集や記念切手などとの組み合わせを考えるのも楽しいんですって。これってなかなか“沼”な趣味なのでは……!
わたしは旅先から家族や友人宛に絵ハガキを出すのが好きなので、今後は郵便局の窓口に持ち込んで「風景印で!」と言ってみたいと思います。
それこそ自宅あてに風景印を押したハガキを送っておけば、旅の思い出がまたひとつ増えるんじゃありません!?
皆さんもぜひ、まずはお近くの郵便局から「風景印」を集めてみてはいかがでしょう〜!
参考リンク:日本郵便[1][2]
取材協力:石原可周久(いしはらかすく)
撮影・執筆=森本マリ (c)Pouch
▼上野〜浅草を歩くだけでこんなに集まるんだって! 100均の名刺サイズカードに押してもらう→カードホルダーで管理するのがオススメだそうです
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