みなさんが“フランス”という国から、連想するものは? 美食にファッションに芸術……などでしょうか。

実際にフランスで暮らしてみると「え!?」と、驚くことがいっぱい。日本では知ることのなかった事柄が、日常のあちこちに転がっています。それはもう、ネタの宝庫!

そんなわけで、南仏で暮らしている私が、日々の生活の中で感じるおもしろいことや意外な発見を、みなさんにもお伝えしていこうと思います♪

本日はフランスで生活して驚いた「チーズケーキがケーキ屋にない」お話です。

【パン屋でもケーキは買える! でも…】

フランス人にとってのパンは、私たち日本人にとってのご飯のようなもの。そんなわけで、どんな小さな町にも、焼き立てのパンとシンプルなケーキを売るブーランジェリー(※パン屋)が必ずあります。

ケーキをメインに販売する洋菓子店はパティスリーと言われていて、ケーキ屋なので、当然ながらこちらはケーキの種類が豊富。

パン屋のケーキのラインナップはたいてい、エクレアにミルフィーユ、ガトーショコラに季節のフルーツタルトなど。パティスリーはこれらに加え、キャラメルのムース、マカロン生地のケーキなど華やかなラインナップです。

というわけで、当地ではパン屋でもケーキが買えるんです。ただ、洋菓子の定番「チーズケーキ」が見当たらないんだけど……! どうしてかな?

【チーズケーキはどこ?】

フランスは世界一のチーズ大国で、500種類以上を誇ると言われています。一説によれば、1000種類以上とも! それなのに、チーズケーキがパン屋にもケーキ屋にもないのはなぜ?

結論から先に言うと、チーズケーキがフランスには定着しなかったから。

チーズケーキの歴史は古く、古代ギリシャで誕生したと言われています。それが歴史を経てイギリスや東ヨーロッパに広がり、19世紀後半にアメリカでクリームチーズが誕生したのをきっかけに、滑らかな舌触りのベイクドチーズケーキが広まっていった模様。

そんなわけで、当地でもアメリカ系のチェーン店「マックカフェ」や「スターバックス」でチーズケーキが食べられても、フランスのパン屋やケーキ屋では一般的ではないのです。

【甘いチーズはチーズではない!?】

それにしても、世界中で愛されているチーズケーキが、なぜフランスでは定着しなかったのか。気になりませんか?

よく聞くのが「甘いチーズは受け入れ難い」という意見です。私のフランス人の夫も「チーズが甘いのは不思議」とのこと。フランス人にとって、“チーズ=塩辛いもの”というのが一般的なイメージのようです。

確かに、フランスでベイクドチーズケーキの製法に近いものと言ったら、卵とクリーム、そしてチーズたっぷりのキッシュかも。

さて、そんな“チーズ=塩辛いもの”というフランス人の感覚を裏づけるような、ある日の会話をご紹介しましょう。先日、親戚のおばちゃま(50代のフランス人)とケーキを食べながら話をしていたときのことです。

おばちゃま:ねぇ、あの甘いチーズのお菓子あるでしょ。あれ何て言うんだっけ?
私:それはチーズケーキです。
おばちゃま:そうだったわね。チーズケーキだったわね。どこの国のお菓子なのかしら。

とはいえ、当地のパティスリーやサロン・ド・テ(スイーツと軽食が食べられるティールーム)では、チーズケーキ風のものを扱うお店も増えてきてはいるし、若い世代のフランス人に「チーズケーキ」と言えば通じるぐらい、知名度は上がってきてはいます。

スイーツ大国であり、チーズ大国でもあるフランス。だけどチーズケーキは一般的ではない不思議……。みなさんはご存知でしたか?

参考リンク:cheesecake.com
執筆:sweetsholic (c)Pouch
Photo:(c)Pouch