【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは大人女子に人気のアニメ「美少女戦士セーラームーン」の映画化作品『劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》』（2021年1月8日公開）です。

「美少女戦士セーラームーン」は1991年に少女漫画雑誌「なかよし」で連載が始まり、1992年にTVアニメ化をされ、大人気を博した作品です。

その名作アニメの25年ぶりの劇場版が本作。漫画やアニメに夢中になった世代はもちろん、若い世代からも注目されています。というわけで、私は劇場版の公開初日に鑑賞してきました。では物語からいってみましょう。

【物語】

皆既月食でお祭りムードの中、月野うさぎとちびうさは助けを求めてきたペガサスのエリオスと出会います。ゴールデン・クリスタルの封印を解く選ばれたる乙女を探しているエリオスは、夢の中でちびうさに協力をお願いするのでした。

一方、謎のサーカス団は、幻の銀結晶を手に入れて、宇宙支配をもくろんでいました。うさぎ、ちびうさ、エリオスたちは、どう闘っていくのでしょうか。またエリオスが探しているゴールデン・クリスタルの封印を解く少女とは……。

【セーラームーン、意外と色っぽかった!?】

実は私、「セーラームーン」初体験です。漫画もアニメも見たことがない。でもその存在や「月に変わっておしおきよ！」という決めセリフは知っていました。少女時代にセーラームーンの洗礼を受けた世代が大人になり、再びハマっているらしいということで、その魅力を探るべく鑑賞したわけです。

で、率直な感想ですが、これは女子力が高い女性ほど、好きかもしれませんねー。

美少女戦士たちは愛情や友情への気持ちが強く、まっすぐな心の持ち主ですが、愛するまもちゃん（タキシード仮面）のことを考えている時間もあったりと、恋愛脳もけっこう高め。

セーラー服をベースにしたファッション、超ミニスカートから伸びる長い脚、変身シーンなど、色っぽいシーンもけっこうあるんですね、意外。物語については「アニメを少し見ていけばよかった」と後悔。キャラが多いので把握しきれず……。本作は新たなセーラームーンファンを獲得するための映画ではなく、ファン感謝祭のような要素が強め。

【敵役に魅力的なキャラがズラリ】

セーラームーンと対峙する敵役もなかなか魅力的でした！　特にアマゾネス・カルテットのワイルドさと可愛さのミックスが良かった。彼女たちはセーラームーンよりも、もっと露出度高めのファッションで胸の谷間も見えたりしています。「おおお～」とちょっとドキっとしました。

いちばん謎だったのは、アマゾン・トリオ。動物が魔法を受けて人間の形態に変身して、セーラームーンの前に現れるのですが、性別不詳なルックスに驚きました。

でも敵役にこういう濃いキャラがいるのはいい！『鬼滅の刃』もそうですが、敵役は、個性が強く力も強い方が、物語は絶対に面白くなるはずなので。その鉄則をしっかり抑えているところは、さすがセーラームーン！

ちなみにアマゾン・トリオのひとり、タイガーズ・アイの声を担当している声優・日野聡さんは、『鬼滅の刃』の大人気キャラ煉獄杏寿郎の声も担当。あの男の中の男！みたいな煉獄さんとタイガーズ・アイが同じ声だなんて。見た目のギャップが凄すぎました。

公開初日の劇場は、平日の昼間だったので大混雑ではありませんでしたが、女子人気の高さを証明するように、20代、30代の女性たちが観に来ており、皆さん、ポスター前で写真撮っていました。

セーラームーンで育った世代の読者の皆さんもぜひ。後編は2月11日公開なので、興味のある方は、それまでに観ておくことをオススメします！

執筆：斎藤 香（c）pouch

『劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》』
（2021年1月8日より、ＴＯＨＯシネマズ六本木ヒルズほか、全国ロードショー）
原作・総監修：武内直子「美少女戦士セーラームーン」（講談社刊）
監督：今 千秋　脚本：筆安一幸　キャラクターデザイン：只野和子　音楽：高梨康治
声の出演：三石琴乃　金元寿子　佐藤利奈　小清水亜美　伊藤 静　福圓美里　野島健児
皆川純子　大原さやか　前田 愛　藤井ゆきよ　広橋 涼　村田太志　中川翔子　松岡禎丞
渡辺直美　菜々緒
(C)武内直子・PNP／劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」 製作委員会