アメリカとメキシコの国境となる柵越しに設置された、ピンク色のシーソー。
国をまたいで、向かい合わせに遊ぶ人々の姿が印象的です。
このシーソーは、建築スタジオ「ラエル・サン・フラテッロ(Rael San Fratello)」が手がけたアート作品。一体どんな思いが込められているのでしょうか。
【国境を越えて「つながる」場を】
国境の柵を通して設置されたシーソー「The Teeter-Totter Wall」は、実現までに10年を費やした(!)作品。
シーソーを制作したのは、カリフォルニアを拠点に活動する建築家、ロナルド・ラエル(Ronald Rael)さんとヴィリギナ・サン・フラテロ(Virigina San Fratello)さんです。
国境を越えて人々がつながれる場所を作るべく、鋼の壁を境目にした、ビビッドなピンクの3つのシーソーを作り上げました。
【短い時間だったけど…】
特殊な条件下で設置されるため、シーソーは常設ではなく、一時的なインスタレーションとして制作。
ひとりはメキシコ側、もうひとりはアメリカ側で作業し、実際に稼働したのは2019年7月28日のわずか20分弱のみだったといいます。
それでも、近隣に暮らすメキシコ・アナプラのコミュニティと、アメリカ・テキサス州エルパソの人たちが、遊びを通してひとつになった奇跡の瞬間でした。
【「今」を象徴するような作品です】
このシーソーは、ロンドンのデザインミュージアム(Design Museum)が主催する「Beazley Design of the Year」において、2020年度の勝者に輝きました。
ソーシャルディスタンスや人種、思想の違いなどによって、物理的にも心理的にも “ 人と人との距離 ” が浮き彫りになった2020年。
だからなおのこと、「国を超えたつながり」を体現したこの作品が、多くの人の胸に響いたのかもしれませんね。
参照元:Design Museum、facebook
執筆:田端あんじ (c)Pouch
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