先月、所用で広島方面へ行くことがありました。
飛行機に乗るのは3年ぶり、中国地方を訪れるのは実に10年以上ぶり。なかなか気軽にお出かけができるご時世でもないので、否応なく心が浮き立ちます。
現地へ降り立ったあと予定までに少し空き時間があり、目的地からも近かったので、同行者と「宮島(厳島神社)行ってみるか!」という話に。
生まれてはじめての宮島、生まれてはじめての世界遺産。写真では幾度となく見たことがある大鳥居、どんな景色なんだろう……とワクワクしながら向かったわたしが見たのは、予想外の光景でした。
【海上の大鳥居が見えないんだが?】
JR山陽本線、宮島口駅を降り、案内に沿ってフェリー乗り場へ。飛行機に乗ったのも相当久々でしたが、船に乗るのはもう何年ぶりかもわかりません。
夏休みシーズン前でしたがそれなりに人はいて、さすが世界遺産だな〜と感心しながら船に乗り込みます。
山の緑、海の碧、空の青、すべてが近く鮮やかで目に心地よく、こんな夏の風景を目にしたのはいつぶりだろうかとしばし放心。
あきらかに心と体が解放されていくのを感じながら、多少の自覚はありましたが、やはりずいぶんと抑圧された数年間だったのだなと頭の片隅で思いました。
そうこうしているうちに、乗船時間約10分ほどで宮島に到着。
鹿を見つけ、ソフトクリーム屋さんの多さに驚き、海と島々が織りなす景色の美しさに感動し……厳島神社を目指して海岸沿いを歩きながら、予定外の「旅」を満喫しました。
そのいっぽうで、わたしも同行者も、口には出さないものの、ちょっと気になり始めていたのです。
……で、大鳥居どこ?
【まさかの修復中でした…】
見当たらないんですよ。あの有名な、海の中に鎮座まします真朱の大鳥居が。
宮島といえば厳島神社、厳島神社といえば大鳥居。いったいどこにあるんだと海へ視界をやりつつ歩いていたら……「ねえ。あれ、もしかして」。
\ガッツリ足場で囲まれとるがな!!!!!/
わたしたちが見たものは、工事用の足場に全体を覆われている大鳥居でした。実は、船の中からも視界に入っていたのですが、この覆いのせいでまったく気づかなかったのです。
これまで旅先として候補に上がったことがなかったので知らなかったのですが、どうやら令和元年から大鳥居の修復工事がはじまっていたとのこと。
というわけで、どこから見ても、
なんとなくのシルエットでしか、大鳥居の姿を拝することはできなかったのでした。
事前に調べて行きなさいよ、ってことなんですが、まあ予定になかったですしね!?
【逆に貴重かもしれない】
あとから「一般社団法人 宮島観光協会のウェブサイト」を確認してみたところ、おそらく今年いっぱいで大鳥居の足場は撤去され、修繕後の全貌が見られるようになるとのこと。
大鳥居の修繕工事じたい、1875年の建立から140年以上経過して初のことのようで、生きているうちにこの姿の大鳥居が見られるのは現世では(?)これきりかもしれません。
それを知った私と同行者は「逆に貴重では?」とテンションを高め合いました(笑)。
【それでも、行ってよかった】
というわけで大鳥居の完全な姿を見ることはできませんでしたが、厳島神社の荘厳な美しさは健在でした。
海と山に抱かれた社殿の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいです。
できることなら満潮時に訪れてみたかった! 海の上に浮かぶ社殿、神秘的だろうな……。
回廊の端に腰かけ、ぷら〜んと足を海に向かって投げ出して談笑していた人がたくさんいたのも印象的でした。
厳かでありながらどこか親しみやすい、稀有な魅力にあふれた厳島神社。
ほんの少しの滞在でしたが、思いがけない光景に出会えた上に、ここ数年の鬱屈が解き放たれたような、得がたい時間を過ごすことができました。
行ってみて、本当によかった!
参考リンク:一般社団法人 宮島観光協会
撮影・執筆:森本マリ
Photo:(C)Pouch
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
コメントをどうぞ