大分県・ゆふいんで、読書好きさんにぜひとも訪れてほしい場所に出会いました。

それが「ゆふいん 文学の森」。かつて東京・杉並区で太宰治が暮らしていた部屋がある「碧雲荘」を、宮大工の手によって移築した施設で甦らせたのです。

森の中に佇む古民家カフェで、お茶や食事を楽しみながら1日中本を読んでいい。そんな夢みたいな場所をご紹介します。

【太宰が暮らした「碧雲荘」】

昭和10年に建てられ、太宰治が滞在・執筆した「碧雲荘」。かつては東京の杉並区にあったこの建物を、間取りや方角をそのままに移築したのが大分県にある「ゆふいん 文学の森」です。

1階は「本の読める喫茶室」と貸しギャラリー「大人公論舎」、2階は「読書スペース」。予約をすれば、撮影のための貸し切りもできるんですって。

【どこに座るか迷ってしまう…!】

1階は喫茶室。四方を森に囲まれた建物には窓がたくさんあって、やわらかい光が差し込みます。本当に、どこを切り取っても絵になる美しさ。

喫茶室として解放されているお部屋は4部屋ほどあるのでかなり広く、かつそれぞれ見える景色が違うので、座る場所に本気で迷ってしまいます。

訪れた日は少し雨が降っていたこともあり、よりいっそう森の静けさや建物のぬくもりが際立っていました。


この佇まいで読書できるのが最高なのは当然として、「喫茶室」なので飲み物や食べ物も注文できてしまうというのがこれまたうれしい。

大分県はきのこの産地ということで、「大分キノコとチーズピザ」(1200円)を注文したのですが、すごく本格的! 焼き立てできのこの旨味も濃厚、サラダもたっぷりで食べ応えバツグンでした。

なお読書コーヒー(650円)にはひとくち菓子がセットでついてきます。

【すぐそこにいるような温度感】

続いては2階の読書スペースへ。それぞれのお部屋が太宰治の作品をテーマに設えられています。なんとなく物語のイメージが湧く内装になっているような……!

どのお部屋も味わい深いのですが、個人的一押しはやはり最奥の「HUMAN LOST」。代表作「人間失格」の原型となる小説を執筆したとされる部屋です。

窓の向こうに見えるエアコンの室外機すら生々しく、ついさっきまで本当にそこに彼が座っていたのではないかと感じさせるような温度や湿度。こんな雨の日の午後は、太宰治も大の字になって寝転んでいたのかもしれません。

【1日過ごせる本好きの天国】

お店の方にお話をうかがうと、朝いちばんに訪れてまずはコーヒーを飲み、2階に上がって読書、お昼に降りてきてランチを食べ、そしてまた上で読書……と1日滞在する人もいたそう。

本当にそんな過ごし方が許される場所なのが、この「ゆふいん 文学の森」のすごいところ。


自分で本を持ち込んでもいいですが、店内で閲覧できる書籍や販売されている書籍もあるので、次々に読むこともできちゃう。

ゆふいんといえば温泉ですが、ここで過ごす1日はきっと格別。日本文学や読書が好きな人なら、ぜひ1度は訪れてほしいです。

・ゆふいん 文学の森

住所:大分県由布市湯布院町川北1354-26
営業時間:10:00〜17:00

参考リンク:ゆふいん文学の森Instagram@bungaku_mori
執筆・撮影:森本マリ
Photo:(c)Pouch