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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、思い切り旅気分を満喫できて、なおかつ女子力が高まる映画『わたしのハワイの歩きかた』(6月14日公開)です。

仕事頑張っているのに会社は認めてくれないし、恋愛もうまくいかないし、周りばっかり幸せになって、自分は置いて行かれている~なんて気持ちになったことありませんか? そんな女子にこそ見てほしい、日常脱出&もやもや克服映画が『わたしのハワイの歩きかた』なのです。

【物語】

友だちがハワイで結婚式をやることになり、ハワイ本を出版した経験ある編集者みのり(榮倉奈々)は、二次会の場所探しを任されます。しかし、みのりはハワイ本を作ったことはあってもハワイへ行ったことがない! さっそく上司にハワイ企画をゴリ押しして、出張することに。

仕事は認められず、恋愛もうまくいかず、イライラしていたみのりは、ハワイでストレス発散と決め込んでいたけれど、ハワイに着いても全然気分は晴れません。そんなとき、みのりはやたらハイテンションな茜(高梨臨)やハワイでの成功を夢見る青年の勉(瀬戸康史)謎の青年・知哉(加瀬亮)らと出逢い、様々な出来事に巻き込まれていくのです。

【アラサー世代の弱みをガシッと掴んだ映画】

自分だけ結婚できないとか、仕事に生きがいを見いだせないとか、女も25歳過ぎてアラサーの領域に入って来ると、焦りが加速していきます。そんな女子の弱みを描いたのがこの映画です。

ヒロインのみのりはまさに今のアラサー世代の代弁者です。友だちや男や仕事に振り回されている彼女はハワイでストレス発散しようとしますが、根本的なことが解決できていないので、全然気分は晴れないわけです。でも何で晴れないのか、それが自分でもわからないっていうのが彼女の困ったところ。加えて、みのりがハワイで出会う人々はクセモノばかり。

でも、彼らとの付き合いの中で、みのりは自分に嘘をつかないこと、周囲に流されない強さを知るのです。彼らも欠点がたくさんある。人のふり見てわがふり直せじゃないけど、みのりはそこで自分の人生で大切なことをちょっと掴むんですよ。そのちょっと掴む、そのさじ加減がこの映画、リアルでいいんですよ。

【登場人物は嫌われキャラ?】

みのりと知り合うナチュラリストな謎の男を演じる加瀬亮がこの映画について、こんな風に語っています。

「自分が演じた知哉も、ヒロインのみのりも決して魅力的な人物じゃないんですよ。でも、この映画を見てくれるお客さんに嫌われるような可能性のある人物を真正面から描く監督って実は少なくて。前田監督はその嫌われる要素の中から何かを見出してもらいたいのかなと思いました。ダメな部分も含めて人だと認めている。そういう前田監督らしさが出た作品になったと思います」

そうなんですよね、みのりの人生がイマイチ冴えないのは、客観的に見れば自業自得の一面はあるのですよ。でも意外と自分のことは自分じゃわからないから、みのりは荒れる! もちろん、そんなみのりを映画は放っておきません。ちゃんと彼女に人生を考えさせて、足りないものに気付かせてくれますから。

前田監督は前作『婚前特急』でも自己顕示欲の塊のようなヒロインを描きましたからね、こういう一筋縄ではいかない女を描かせたらウマイ監督なのかも。要チェックです!

【1カ月のハワイロケ! 映画は観光気分も味わえる】

この映画は1カ月のハワイロケを敢行して撮影されただけあって、ハワイ名所がたくさん見られます。ホノルル・ワイキキでは日本でも人気のEggs’Thingsが登場。ほかレインボー・ドライブイン(プレートランチの店)、コナベイハワイ(アロハシャツ屋さん)アロハテーブル(レストラン)モアナ・サーフライダー(ホテル)と人気のスポットが続々。ハレイワ・ビーチ、ノース・ショアのワイメア・バレー。ワイマナロ・ビーチなど景観のいい場所も登場し、ハワイへ行った気分になるというより、ハワイへ行きたくなるでしょう!

ちょっとクセモノ登場人物たちのアクの強さが、ハワイの青い空や海で緩和されるような。そういう意味でもこの映画のハワイロケは大成功! 女同士で見て、語り合いたくなる映画かもしれませんね~。
執筆=斎藤 香(c)Pouch

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『わたしのハワイの歩きかた』
2014年6月14日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:前田弘二
出演:榮倉奈々、高梨臨、瀬戸康史、加瀬亮、宇野祥平、中村ゆり、池松壮亮、上原美佐ほか
(C)2014「わたしのハワイの歩きかた」製作委員会