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4カ月前にフランス南西部のトゥールーズという街に引越してきました。当地はレンガ造りの街並がピンク色に見えることから「La ville rose(ラ・ヴィル・ローズ/バラ色の街)」と呼ばれる素敵な場所。ただ、ラーメンやお好み焼きを気軽に食べられ、みそや醤油がすぐ手に入るパリとは違って、当地には日本食材店がないため、和食の材料を手に入れるのは難しい状況です。

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和食を作るためには日本やパリで調味料を調達しなければならず……。ということで、現地の食材と調味料を駆使して日々の食事作りをすることに決めました。

日本の都市部でも手に入りやすい食材や調味料を使用しているので、みなさんの献立にも活用していただけるはず! 簡単なレシピ(2人分)と共に1週間の献立をご紹介しますね。ついでに、フランスの日常風景も少し紹介しちゃいます。

【日曜日】サーモンとマッシュルームのキッシ/エクレア

日曜は、フランス人にとっては完全な休息日。デパートを含め、どこの店もシャッターを下ろしてしまいます。ショッピングも遊びも、あまりできないのが辛いところ。家や公園などでのんびり過ごす人が多いようです。

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●サーモンとマッシュルームのキッシュ
鮭の切り身(2切れ)に白ワイン少々をふりかけ、ラップをしてレンジで2分半加熱。火が通ったら、身をほぐしておく。スライスしたマッシュルーム6コとタマネギ1/2コをオリーブオイル大さじ1で炒め、塩・コショウで味付け。ほぐした鮭、茹でておいたブロッコリー少量と混ぜ合わせて冷ましておく。

卵2〜3コに生クリーム100〜150ccを加え、塩・コショウをしてよく混ぜ合わせる。直径6cmのマフィン型に冷凍パイシートを敷き詰め、ここに具材を入れてから卵液を注ぎ入れ、とろけるチーズをかけて200℃に予熱しておいたオーブンで約40分、卵液が固まるまで焼く。

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【月曜日】チキンと野菜のブロシェット/シーフード炒め、クスクス

モロッコなど北アフリカ料理の主食であるクスクスは、フランスでもポピュラーな食べ物です。お湯を注いで数分待てば食べられる、という手軽さも魅力! これまた時間をかけずとも豪華に見えるフランス風焼き鳥・ブロシェットに添えていただきます。味付けはしょう油とゴマとショウガでオリエンタルに。

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●チキンと野菜のブロシェット
もも肉200gはぶつ切りにして、ショウガのみじん切り大さじ1/2〜1、すりゴマ大さじ2、しょう油大さじ2、ごま油大さじ1/2を混ぜたマリネ液に20分ほど漬ける。大きめに切ったパプリカ、マリネ液をさっと絡めたマッシュルーム、鳥肉を交互に串に刺す。200℃に予熱したオーブンまたは魚を焼くグリルで15分程度、火が通るまで焼きます。

●シーフード炒め
シーフードも鳥肉と同じようにマリネ液に漬けて、薄切りにした玉ねぎとパプリカと一緒にフライパンで炒める。クスクスをたっぷり添えて、召し上がれ!

【火曜日】ビーツとブリーチーズのサラダ/パン、ディップ

フランスでよく見かける「ビーツの真空パック」(日本だと缶詰のものが手に入ります)とブリーチーズを使ったサラダ。パンには市販のサーモンクリームを塗っていただきます。パン(バゲット)をこよなく愛す人の多いフランスでは、パンに塗るペーストがとっても充実しています。白いご飯に合わせる佃煮、のような感覚なのかもしれません。

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●ビーツとブリーチーズのサラダ
ビーツの缶詰(正味200g)とブリーチーズ(50g)をダイス状にカット。ボウルに白ワインビネガー大さじ2、オリーブオイル大さじ1/2〜1、ハチミツ小さじ1、塩・コショウ、乾燥ミックスハーブ小さじ1/2を入れてよく混ぜる。ミックスリーフ80gとビーツを加え、手で和える。お皿に盛りつけ、チーズを散らす。

【水曜日】ツナマヨとアボカドの太巻き、うどん

日本食材店へ行かずとも、スーパーで「スシライス」なるものが売られています。スシライスを炊いて、ライスビネガー(米酢)に砂糖と塩を混ぜてレンジで加熱、酢飯を作ります。

刺身用のネタはいつでも手に入るわけではないので、ツナ缶にマヨネーズを混ぜたものと甘辛の卵焼き、アボカド、キュウリを巻けばなんちゃって太巻きに。意外にもガリはどこでも手に入ることにビックリ! フランス人はガリをサラダや料理に使ったりもするみたいですよ。

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汁物はアジアスーパーで手に入る中国産の乾麺&日本から持参しためんつゆ&乾燥ワカメと七味、で「関東風のワカメうどん」。こんなふうにして作る和食が、日本人としての自分をすごくほっとさせてくれています。

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【木曜日】サーモンとほうれん草のクリームパスタ/ミックスリーフのサラダ

フランスのスーパーは周辺国からの輸入食材が豊富。イタリア産のふわふわモツァレラチーズにバルサミコ酢、味わい深いパスタなどがかなり安く手に入るのです。

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● サーモンとほうれん草のクリームパスタ
好みのパスタ(160〜180g)を茹で始めます。鮭の切り身(2切れ)に白ワイン少々をふりかけ、ラップをしてレンジで2分半加熱。火が通ったら身をほぐしておく。フライパンにスライスしたマッシュルーム6コとタマネギ1/2コを生クリーム150ccで炒める。茹でたほうれん草50gを加えて混ぜ合わせたら、塩・コショウで味付け。ここにパスタ、茹で汁大さじ2を加え、ソースを絡めるように炒める。パルメザンチーズ大さじ2を加えて全体を混ぜ合わせる。汁気が足りないようなら茹で汁を少量加えても。盛り付け前に味を調えましょう。

●ミックスリーフのサラダ
ミックスリーフ80g、オリーブオイル大さじ1、バルサミコ酢大さじ2、塩・コショウをボウルに入れて、手で和えるだけ。砕いたナッツをトッピングすると食感が楽しい1品に。

【金曜日】チコリボートのチリコンカン&ベジサラダ、ケーク・サレ

フランス人は食事の前に軽いおつまみとビールやワイン、カクテルなどを楽しむ「アペリティフ」の時間を大切にします。キューブチーズやクラッカーで簡単に済ませるのもOK! でも時間があれば、せっかくなので手作りのおつまみを用意したいですよね。

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●チコリボート
牛ひき肉と豆を市販のチリコンカンスパイスで炒めておく。プチトマト5コを小さく切って、ちぎったバジルとバルサミコ酢大さじ1、塩・コショウでベジマリネを作る。チコリの上にチリコンカン、ベジマリネをそれぞれのせれば簡単かつヘルシーなアペリティフに。

※ケークサレのレシピはこちらから。

【土曜日】魚介と野菜のオイルフォンデュ

オイルフォンデュなんてかっこよく言ってみましたが、食卓で作る串揚げスタイルの天ぷら。天ぷら粉がないので小麦粉と卵少量に塩少量を冷水で溶いた衣、カットした野菜、下処理をした魚介類をテーブルに並べれば、揚げたて熱々の天ぷらが食べられます! 残念ながら天つゆなるものはないため、スイートチリやアイオリなどのソースをいくつか用意してみました。

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何にでもワインを合わせようとするフランス人……。天ぷらに合わせるなら、シャンパンなどシュワシュワ系のワインなら美味しくいただけそうです。とはいえシャンパンは高価なので、同等クラスのスパークリングでも十分。でもやっぱり、天ぷらにはビールが欲しいな!

シャンパンクラスのスパークリングワインの選び方についてはこちらから。

見慣れない現地の食材や調味料を試すのには不安もあるけれど、思いがけず美味しいものにめぐりあうことが多々あります。また、材料を工夫すれば現地の食材でもなんちゃって和食ができたり。これも海外暮らしならではの楽しさだったりします。

今回ご紹介したものはどれも、記者がつくってみて「手軽! おいしい!」と思ったものばかりです。日々の献立にどうぞお役立てくださいね。

料理・撮影・執筆=sweetsholic(c) Pouch