我々はもう、レバ刺しにありつけないのか?

10月から改訂された生食用牛肉の新基準により、レバ刺しやユッケなどの生肉が飲食店からこつ然と姿を消しました。食中毒の原因となる菌を死滅させるには手間もコストもかかりすぎると、飲食店はお手上げ状態というわけです。

施行されてから、はや5日。無類の生肉好きたちは、すでに禁断症状が出ている頃にちがいない! というわけで、生肉に飢えて夜も眠れない皆さんのためにとっておきの食品をご紹介します。

なんと、生肉禁断症状を見透かしていたかのように、「レバ刺しの代替食品」が今年の夏に登場。画像をご覧あれ。ほら、どう見てもレバ刺しでしょう? もちろん、そのまま堂々と食べて良しです。念願だったレバ刺しに、喉が鳴りますな。

これ、正体はなんだと思いますか? 実はというべきか、やっぱりというべきか、「こんにゃく」です。商品名は、レバ刺し風こんにゃく『マンナンレバー』というもの。ハイスキー食品が独自の製法で作り上げた、こんにゃくを原料とした新素材「マンナンミール」を短冊状にカットして作られています。

色はどうやって付けたのか? 原料をみると、トマト色素、イカスミ色素、とあります。そうか、トマトにイカスミ……って、え!! 色付けとはいえ、食べる前からやや不安になる組み合わせ。ちなみに味付は、魚醤、醸造酢、魚介エキス、昆布エキス、その他もろもろが入っています。これで、本当にレバー風味になるというの?

なんちゃってレバーをお皿に盛り付けたあと、さらにごま油や刻んだ万能ネギ(ワケギ)、白ゴマ、塩などをかけると、もはや、どっからどうみてもレバ刺しです。すごい、すごすぎる!

見た目は完璧ですが、肝心なのは味。いったい、どんなことになっているのやら……。食欲のためか衝撃のためか、「ゴクリ……」と生唾を飲み込んで、頬張ってみました。

すると、アラ、アラララ! 想像以上にレバ刺しです。食感は、レバーとほぼ同じ。ツルっとしていて臭みがなく、新鮮なレバーそのものです。風味は無論、色素のイカスミの味などしません。

さらに、トッピングしたごま油やワケギなどで風味がより複雑になり、言われなければすっかり騙されてしまいそう。かなり、旨い。完成度高し! 欲を言えばあと少し、あと少~しだけ血生臭いと、生肉好きの記者にとってたまらなく嬉しい。だけど、これならレバー嫌いの人でも酒の肴に堪能できるからグッド!

ちなみに、この「レバ刺し風こんにゃく」、良いこと尽くめです。カロリーは生レバーの半分で、こんにゃくだから食物繊維が豊富、食中毒の心配なし。業務用で購入できます。

レバ刺し禁断症状に陥っている皆さん、晩酌のお供に、ぜひご賞味あれ!

—生肉禁止の経緯—

世間を震撼させた、焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件。ついに10月1日から、レバ刺しやユッケなどの生食用牛肉を扱う食肉処理業者や飲食店を対象にした厚生労働省の新基準が施行された。新基準は、小分けにした肉魁を湯せんなどで表面から深さ1センチの部分を60度で2分以上加熱殺菌。さらにその加熱した部分をトリミングして提供するため、提供される部分は元の肉魁から比べるとほんのひと握りだ。そうなると手間とコストがかかるため、とてもじゃないけどお客に出せる金額ではなくなる、と店主たちは嘆いているという。

(写真、文=池田廉)

参考:ハイスキー食品(http://www.haisky.co.jp/)

▼ごま油と塩とネギとが、ぐじゅわーっとこんにゃくレバーに絡み合う!

▼こんなかんじでパックされている

▼ごま油と塩だけでも旨いぞ

▼プレーン状態もあっさりしてグッド