「ヤサイマシマシアブラカラメニンニク」。
突然ですが皆さんはこの呪文が何の事だかわかりますか? これは「ラーメン二郎」というラーメン屋さんの注文時に使用される「コール」という独特の注文方法です。
当サイトでも以前からこのラーメン二郎に関する記事をいくつか掲載してきましたが、最近はインターネットを中心にラーメン二郎に関する話題が絶えることがありません。
いったい、二郎とはどんなお店なんでしょう。今回はラーメン二郎初心者の記者(乙女)が、実際にラーメン二郎へ足を運び、ラーメン二郎を体験してきました。記者が体験した一部始終を「ラーメン二郎はじめて物語」としてレポート致します。
その前に……「ラーメン二郎とは?」
1968年創業のラーメン二郎。もやしがたくさん乗せられた大盛りラーメンに、先ほどご紹介したコールなどオリジナリティあふれるお店作りを展開。ラーメンファンの心をガッチリとつかんで離さない、それがラーメン二郎です。
さらに近年、ラーメン二郎ファンがネット上に書き込んだレポートがインターネット掲示板を中心に広まり、ラーメンファンでなくとも「本当にこんな雰囲気なのか?」「一度はラーメン二郎に行ってみたい」などと人々の間で広く認知されるようになり、さらに人気が広まっていったようです。
さて、記者がお店に行くための下調べをしていると、ラーメン二郎にはお客さんが食べやすいように様々なルールが存在することが分かりました。代表的なものは以下のとおりです。
【ラーメン二郎の一般的なルール】
その一 並ぶときは、ほかの通行人の邪魔にならないようにお店を囲むようにして並ぶ
その弐 行列の先頭くらいにきたら食券を買い、お店の人が「どうぞ」と声をかけてくれて初めて席に座れる
その参 「ニンニク入れますか?」と聞かれたら、「ニンニクマシマシ」や「ヤサイマシマシ」といった呪文で答える
その肆 ラーメン二郎では1回に5人前など、麺を一気に茹でるシステムのため、ほかのお客さんと同じペースで食べないと次の人が食べ始める(着丼)のに待たなくてはならなかったり、余った麺が廃棄になってしまう。こういった迷惑行為(ロット乱し)はラーメン二郎では「ギルティ」(罪)とみなされ肩身が狭くなる
その伍 食べ終わったら感謝を込めて「ごちそうさま」と言い、丼とコップをカウンターに乗せ、テーブルをふきんで拭いて朗らかに席を立つ
……といったルールがあるのです。コールに自信が無かった記者は“ 「ラーメン二郎」初心者のためのコール(呪文)ジェネレータ(※)” なるものでコールをおさらい。「ヤサイスクナメ」をしっかりと頭に記憶し、いざラーメン二郎三田本店へ!
で、いよいよココから……「レポートの始まりデス」
ラーメン二郎三田本店の営業時間は10時から15時。記者は人生で初めてラーメンを食べに行くために、会社を休む(有給をとる)ことにしました。10時過ぎにお店に到着すると、すでに行列ができていたんです。
ピシッとスーツを着たサラリーマン風の男性、プラスチック製の鞄を持った大学生風の男性、部屋着にサンダルというラフな姿の男性……色々なお客さんが並んでいましたが、偶然か否か、みなさん大柄な方ばかりです。
「ラーメン小を購入」
いよいよ、列の先頭にきた記者。まずは、食券を購入。ラーメンの種類としてはラーメン(小)、ぶた入りラーメン(小豚)、ぶたダブルラーメン(小ダブル)、大ラーメン(大)、ぶた入り大ラーメン(大豚)、ぶたダブル大ラーメン(大豚ダブル)などがありますが、ラーメン(小)で通常のラーメンの二倍ほどの麺の量ということですので、迷わずラーメン(小)を購入しました。
「武士道精神の塊のような店内」
席について店員さんに食券を渡し辺りを見回すと店内が異様な雰囲気に包まれていることに気づきます。お客さんはみな丼を見つめ、ただただ黙って麺をすすっています。食事を楽しむというよりは、戦場で戦う武士たちを連想するといっても過言ではない光景。まさに真剣そのもの!
程なくして店員さんから「ニンニク入れますか?」と聞かれたのですが、雰囲気に圧倒された記者は、あれだけヤサイスクナメを練習したにもかかわらず「あ……いいです」と返してしまい、なぜかとても恥ずかしく泣きそうな気持ちになりました。
少し待つと女性用に少なめに盛られたラーメンが目の前に出されました。見た目には大盛ラーメンくらいですが食べてみてびっくり。太くて硬めに茹でられた麺が食べても食べてもまったく減りません。しょうゆベースの油っぽいこってりスープに、肉塊とも呼べる分厚いチャーシューが2枚。その上にキャベツともやしがたっぷり添えてあります。
「注文したからには全部食べなくては! 残したらギルティになってしまう」という恐怖感と義務感が沸いてきて、気づけば記者もほかのお客さんのように背中を丸めて黙々と食べていました。
しかし、一心不乱に食べていると、不思議なことにほかのお客さんと一体感が生まれているような気がしました。ずるずる、はふはふ。麺をすする優しい音が心地よく耳に響きます。
美味しいとか不味いとか、大事なのはそんなことじゃない。二郎は「絆」を感じることができる数少ないラーメン屋なのかもしれません。乙女の皆さんもラーメン二郎デビューしてみてはいかがでしょうか?
(写真、文=みあざきぱなま)
※ 『「ラーメン二郎」初心者のためのコール(呪文)ジェネレータ(http://goo.gl/RSx34)』 とは、初心者でも問題なく注文できるよう、「コール」を練習するための親切なサイトである。
▼お店前の自販機にはウーロン茶がびっしり!
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