[映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します]
今回ピックアップするのは2月18日より公開されるホラー映画『POV~呪われたフィルム~』。Jホラー界の巨匠・鶴田法男監督作と聞くだけで、見る前から怖いです。『リング0 バースデイ』などの作品で、何度もホラーファンを震え上がらせた鶴田監督ですからね。
『POV~』は、モキュメンタリー・ホラー作品で、米国の大ヒットホラー『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』と同じ手法で撮られています。モキュメンタリーというのは実話のように撮影されたフィクションのこと。POVとはPoint of view=主観撮影のことです。
志田未来と川口春奈が出演する携帯電話向けの番組収録中、投稿動画に予定されていなかった中学校の映像が流れます。その不吉な映像をきっかけに、中学校に浄霊をしに行くことになった志田、川口とスタッフ。しかし、彼女たちはそこで身の毛もよだつ経験をすることに……。
この映画は作品そのものの怖さに加え、スタッフたちを悩ませる怪奇現象も起きました。そのいくつかをご紹介しましょう。
●メイキング映像の中に、誰のかわからない女性の声が聞こえる。
●初号試写のあと、宣伝スタッフAのパソコンが突然起動しなくなる。上映前は普通に起動していたのに……。原因不明。
●初号翌日。宣伝スタッフAがパソコンを立ちあげたら、画面に謎の英文字が並び、その後クラッシュ。原因不明。そのパソコンは半年前に買ったばかりだった。
●初号1週間後。宣伝スタッフBのフリーメールのパスワードが勝手に変えられてしまうという謎の事態発生。
●映画完成後に制作スタッフの家で、プチップチッという謎のラップ音が聞こえるようになる。それも大きな音で。
●出演者Aの取材中、ライター氏が「霊というのは電気系統を麻痺させることがあるらしい」と話した直後、突然、撮影中のカメラのシャッターが切れなくなり、取材が中断される。Aが「ふざけるのはやめて、ゆうこ!」と言うと突然カメラは直り、シャッター音が聞こえた。
ホラー映画の制作サイドでの怪奇現象はよく聞く話です。スピルバーグ製作の『ポルターガイスト』の出演者が何人も怪死している話は有名ですし、堤幸彦監督作『サイレン』でも高機能の機材にトラブルが発生したり、出演者が体調を崩したりして、2回もお祓いしたそうです……。
ちなみに『POV~』は『ブレア・ウィッチ~』や『パラノーマル~』のように「出る? 出る? 何なの!」というイライラする怖さよりも「来る? 来る? ……来た!!!」と、しっかり恐怖のカタルシスを感じさせてくれます。学校の怪談は数多くありますが、モキュメンタリーだけあって生々しく、リアルJホラーという新ジャンルかも?
制作スタッフと志田さんや川口さんに、これ以上何も起こらないことを祈ります……。
(映画ライター=斎藤香)
『POV~呪われたフィルム~』
2月18日より公開
監督&脚本: 鶴田法男
出演: 志田未来、 川口春奈
(c)2012「POV~呪われたフィルム~」製作委員会
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