ピアノからぶら下がる沢山の紐や、無数のレバーやらボタンやらが付いた謎の楽器と必死で格闘するメガネのおじさん。彼の動きとシンクロするようにドンドン、ジャンジャカ、ピュ~ピュ~♪と、様々な音が鳴り響く。YouTubeで話題の動画『New Joe Plays』の1シーンです。

あれ……こんな感じの曲どこかで聞いたことある! 遊園地とかで聞いたことがあるっ!

実はこの楽器、サイレント(無声)映画に音楽と効果音をつけるためだけにつくられた「フォトプレーヤー(Photoplayer)」という装置。演奏しているのは米カリフォルニアでアンティーク商品の会社を営むジョー・リナウド氏。世界でも数少ない貴重な “現役フォトプレーヤー” の所有者です。

サイレント映画の全盛期は1910~20年代。上映にはオーケストラやバンドの生演奏が欠かせない要素でした。ところがなんといっても映画は当時最大の娯楽、上映数もうなぎ上りで全てに生演奏は難しい。そこで開発されたのがこのフォトプレイヤー、いわば究極のマルチ演奏装置です。

小中規模の劇場で大活躍し、20年足らずで数千台が作られましたが、現在残っているのはたったの50台ほど。ちなみに、演奏動画に登場するフォトプレイヤーは1912年製で、完璧に作動する貴重な1台なんだとか。

構造はいたってシンプル。自動ピアノに色々な物をくっつけただけなんですが、ピアノ、オルガン、ベース、木琴、太鼓、シンバル、鐘、鈴、タンバリン、カスタネット、鳥の鳴き声、雷、クラクション、サイレンなどの効果音装置などなど。詰め込みっぷりがハンパないです。

いまならノートPC一台で収まる機能ですが、アナログゆえのこの迫力は、一見の価値ありですよ!

(文=黒澤くの)
参照元:RINAUDO’S REPRODUCTIONS,INC.(http://goo.gl/YjLJD)、YouTube(http://goo.gl/J3aEq

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▼全体図

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▼見えない裏側にも色々入っている模様

▼自動ピアノ用のロール(記録譜)を収める部分。曲ごとに変える。

▼ロールのパケ。曲名が書いてあります。