35歳の教科書
周りから「結婚しないの」とか「まだ子どもができないの」と言われて不愉快な皆さん! 頑張っているのに報われないと感じている皆さん! 「私の人生、これでいいのかな」と思っている皆さん!  25歳から40歳くらいまでの皆さんも! 皆さんにぜひ読んでいただきたい書籍があります。藤原和博さんの『35歳の教科書』という書籍です。

記者はあと少しで35歳になるので、ここのところ何冊もタイトルに「35歳」とつく書籍を読んでみています。それぞれの書籍で「へえ、なるほどなあ」と思ったことは少しずつあったのですが、この書籍はバツグンにおもしろく、身になると思いました。今から自分の人生を戦略的な計画を立てて生きていこうという気になりますし、自分の人生が他の人と違っても、「オリジナリティある自分の人生って素晴らしい」という気持ちになります。また、失敗も怖くなくなってしまうのです。

この本には数多くの助言、提案が書かれています。その中で特に記者が興味を持った内容を2つだけ取り上げて紹介します。

■「みんな一緒」の時代から「それぞれ一人一人」の時代へ
藤原さんは現代の日本を、成長社会から成熟社会へと変化している過程にあると主張しています。成長社会とは、戦後の高度経済成長過程にあり、みんなが「一流大学を出て一流企業に就職し、毎年年功序列で給料が上がって、人々が車やマイホーム、テレビなどの家電を手に入れること」を幸せで正しく、良いことだと感じていた社会のこと。みんなが「幸せ」についての共通認識を持っていた社会です。

しかし、現代日本では、テレビを持っていることが当たり前になりました。そんな社会では、新型のテレビを買うことが幸せだとは言えません。現代の日本は、それぞれ一人一人が「何が幸せなのか」を自分で定義していく、成熟社会になったのだと藤原さんは主張しているのです。

この藤原さんの主張からすると、結婚していなかったり、大学に行かずに自分の得意なことを突き詰めようとしていたり、会社を辞めて好きなことをしてみようとしていたりして、周りの人から何か否定的なことを言われても、自分が幸せなら気にしなくて良いと言うことになります。ちょっと気が楽になりませんか?

(ただし、藤原さんは別の章で藤原さんは、若者が転職をし続ける理由や結婚をしない理由についても触れています。そこでは藤原さんは、理想の相手を求めたり、理想の職場を求めたりするのは、成長社会的な考え方だとも言っています。)

■修正主義の時代の生き方
藤原さんは、成熟社会に生きる私たちにとって、万人に共通する唯一の正解などないと主張します。正解を求めるのではなく、自分が納得でき、かつ関わる人を納得させられる「納得解」を求めなくてはなりません。

それから、現代は変化の早い時代です。こういった正解のなく変化の早い時代には、ビジネスでよく言われるPDCAサイクルでは遅すぎると、藤原さんは主張しています。DADADA(行動し、改善する)の連続でちょうどいいと藤原さんは言います。

正解がなく、何が成功するかわからない不透明の時代だからしかないし、失敗しても改善すればいいのだと藤原さんは言っているのです。

書籍にはこの他にも、心に響く内容がたくさん書かれています。記事として紹介したい部分に付箋を貼りながら読んでいたら、付箋だらけになってしまったくらいです。もうすぐ年末年始。2013年の計画を立てる前に、25歳くらいから40歳くらいの皆さんは、ぜひ一度読んでみてください。

【書籍情報】
書籍名:「今から始める戦略的人生計画 35歳の教科書」
著書:藤原和博
出版年:2009年9月19日
出版社:幻冬舎

(文=FelixSayaka