伊藤忠商事といえば日本を代表する大企業のひとつ。そのトップである岡藤正広社長が「PRESIDENT Online」で発表したコラムが今、ネットを中心に大きな議論を呼んでいます。
タイトルは、「『イクメン、弁当男子』は出世できないか 『より良く働く』ための全課題 」。岡藤社長の持論をまとめるとこう。
「草食系男子というのはハングリー精神のない温室育ちに見える。今の若者男子には上昇志向が感じられない。昔は『男は仕事、女は家事育児』と言われ、男は外に行って狩りをしたものだ。イクメンも結構だが、男性と女性にはそれぞれの役割や適した仕事がある。男女一緒に機械的に仕事を振り分けるのはいかがなものだろうか。『弁当男子』なる言葉も生まれているようだが、自分で弁当を作るなんてちょっと変。社員みんなで外に昼食をとりに行ったり飲みにいくことで親近感が増し仕事にもつながるものだ」
この記事に対し、ツイートは4500件近く、Facebookの「いいね!」も5000件以上も……もはや炎上レベルともいえます。Twitterでのつぶやきをいくつか挙げると、
「相変わらずこんな時代錯誤ジジイがトップでは社員もつらいだろうなぁ。今の若者にとっての競争はこのじーさんの若い頃なんかよりも全然きついし、トータルにはリアルにハングリーですよ」
「『活躍したい女性には商社はオススメしません』というメッセージと受け止めた」
「総合商社マンは個人プレーとチームプレーの両方を求められるので社内で情報交換する意義は高いのです」
「これにTwitterで文句言ってスッキリしてちゃ、いけない気がする。結局、いまの自分に都合のいい『会社様』を望んでるだけに思える。偉くなって、自分で変えろと」
「同業者としてはあながち全て外れているという感覚はないかな」
などなど、ざっと見ても肯定意見はほとんどなく大多数が否定的な意見でした。
岡藤社長の記事に対する反論で支持を集めているのが、ロンドン在住で情報通信コンサルティングに従事している谷本真由美さんのコラム。
・男にはこういう仕事が向く、女にはこういう仕事が向くと男女の性差について会社のトップが言うのは、先進国的常識では自殺行為
・「私生活を犠牲にするブラックな働き方が良い」と示唆しているように聞こえる
・「昼食を一緒に食べれば仕事につながる」発言は、働き方に大変化が起きている現代において時代遅れ
・こうした発言が公に出てしまうのは企業の広報やコンプライアンスの機能に問題があるのでは
・自分で健康管理できる弁当男子の何が悪いんだ!
たしかに日本の古い会社の体質が垣間見えたともいえる岡藤社長の発言。戦後の日本を支えてきた世代だけに、お気持ちをお察ししたいところではありますが……。今回の議論、皆さんはどう思いましたか? 年の瀬、仕事とは会社とは、と少し振り返る機会になるかもしれませんよ。
(文=鷺ノ宮やよい)
参照:PRESIDENT Online(http://goo.gl/s9jv7)、WirelessWire News(http://goo.gl/ne2EY)
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