3月5日、熊本県でPM2.5が暫定指針値を超える可能性があるとして、全国で初めて注意喚起が行われました。その後、西日本各地で濃度の上昇が報告されています。近日中に東日本にも到達するという予測もあり、影響が心配されています。
【そもそもPM2.5ってなぁに?】
ここ最近、「PM2.5」という言葉を耳にしない日はありません。そもそも何なのでしょうか? PM2.5はまたの名を「微小粒子状物質」といいます。空気中に浮遊する大きさが2.5マイクロメートル以下の小さな粒子のことです。具体的に言うと髪の毛の太さの30分の1ほどだそう。
「PM2.5=毒」ではなく、これくらいの小さな粒子は自然界にも存在するそうです。ですが、とても小さいので体内に到達しやすく、大量に吸い込むと人体に影響があると言われています。今回問題になっているのは、中国で街の景色が見えなくなるほど異常に濃度が上昇したため。この高濃度のPM2.5は、中国の工場などの排ガスが由来だと見られています。
【PM2.5が日本に来る!?】
2011年に北京にあるアメリカ大使館がPM2.5の観測データを公表して以来、中国の報道ではPM2.5というワードを見かけるようになりました。日本でも、高濃度のPM2.5が風に乗って中国から飛来している恐れのあることがわかり、急速に注目されるように。
今年2月27日には環境省が、大気中の濃度が1日平均で環境基準値の2倍を超えると予測される場合、外出や屋内の換気を控えるよう呼び掛ける暫定指針をまとめています。
そして去る3月5日に熊本県で、暫定指針値を超過する恐れがあるとして注意喚起が行われました。現在、九州、中国、近畿地方などで濃度の上昇、基準値の超過が報告されています。観測されたPM2.5は中国から飛来したものが含まれている可能性があるそうです。
3月8日(金)から週末にかけてPM2.5が東日本まで到達するという予測もあります。あくまで予測ではありますが、環境省のホームページから広域情報、及び都道府県の速報値へのリンクが貼られているのでマメにチェックしておくといいかもしれません。
【中国の人はどうしてるの?】
では、日本よりも先にPM2.5の存在を知り、かつ大気の汚染がひどい中国では庶民はどう身を守っているのでしょうか? 中国のメディアなどでは以下の対策が呼びかけられています。
■中国で呼びかけられている対策
・外出を控える
・換気の際は窓を全開にしない。特に朝晩のPM2.5の濃度が高くなりがちな時間は窓を開けるのは必要最低限に
・外出時はマスク、ストールなどを活用し肌を極力露出しないようにする
・帰宅後は手洗い、うがい、鼻うがい、洗顔を徹底。PM2.5を家の中に持ち込まないようにする
・空気清浄機は一定の効果が期待できるが、フィルターをこまめに洗浄・交換しないと意味がない
・食事をしっかり摂り体の抵抗力を高めておく
・水分をよく摂り、のどや肺を潤しておく
これらの対策は環境省が発表しているものと共通している項目もあり、日本でも参考にできそうです。なお、中国では確かに以前に比べマスク姿の市民は増えたように感じます。しかし、場所や生活水準によっては、全員が全員このような対策が取れているわけではありません。実際に中国人に聞いてみたところ「どうしようもない」「空気の汚さに慣れた」という声も。
日本にせよ中国にせよ、住民は空気は選ぶことができません。産業も大切ですが人が住めないような街を作ってしまうのは本末転倒なのではないでしょうか。
参考リンク:環境省ホームページ(PM2.5速報値リンクあり)
(文、写真=おおさか もぐみ)
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