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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、6月22日公開の韓国映画『10人の泥棒たち』です。韓国映画史上最高の観客動員数を記録した大ヒット映画。なぜそれほどヒットしたのか……。それはハリウッドのエンタメ的な要素&ジャッキー・チェン級の壮絶なアクションが血沸き肉躍る快感を与えてくれるからです。

“太陽の涙” と呼ばれる世界に一つのダイヤモンドを奪うため、10人の泥棒たちが結集(韓国チームと中国チーム)。みんなで力を合わせて~と言いたいところですが、そこは身体能力が高くても、体育会系のいい子ちゃんじゃない。何しろ泥棒ですから、出し抜こうとするのですね。おまけに泥棒チーム内恋愛まであったりして。だからダイヤモンド強奪の計画を遂行しつつも、誰が裏切るかわからないというハラハラ感と、この二人くっつくの? というドキドキ感が、たまらないのです。

そして韓国版 “オーシャンズ11”(こっちは10人ですが)といったスタイルなので、ユーモアも満載だし、すべてのシーンが軽やかに決まっています。ロープの達人として登場するセクシー泥棒を演じるのは『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン。セクシーさに磨きがかかった抜群のプロポーションには、女子もうっとりですよ。猫のようにしなやかに空中を舞うロープアクションは見事で、韓国の峰不二子かキャットウーマンか! という活躍を見せてくれます。

壮絶な犯罪サスペンス『チェイサー』のキム・ユンソクは、作戦を計画するリーダー。ポーカーフェイスなキャラでクールを装っているけれど、壁をつたって飛びながら横移動する空中アクションは、まるでスパイダーマン! いつ落ちるかとヒヤヒヤしっぱなしです。韓国では演技派俳優でも、ジャッキーばりのハードなアクションをこなせないとダメなのですね。

最近、日本語吹き替え版はお約束のようにありますが、『10人の泥棒たち』も吹き替え版が公開されます。しかし、日本語吹き替え版って声優じゃない方が担当することも多く、プロの声優と比べると、正直ちょっとガックリ……なんてことも多い。だから見るのを躊躇しちゃうのですが、『10人の泥棒たち』はアニメや洋画でおなじみの声優陣が勢ぞろい! 泥棒のプロフェッショナル軍団には声優のプロフェッショナル軍団を! というわけですね。

これなら吹き替えも見ごたえあるでしょう。ちなみにキム・ユンソクの声を担当するのは山寺宏一。「ハリウッド映画の吹き替えはいろいろやってきたけど、実は韓国映画の吹き替えは初めて」とのこと。意外でした。

ほか、「涼宮ハルヒの憂鬱」の平野綾、「名探偵コナン」やキーファー・サザーランドの声でおなじみの小山力也、「鋼の錬金術師」やキャメロン・ディアスの声の朴璐美、「ポケットモンスター」やケヴィン・スペイシーの声のベテラン石塚運昇など、人気声優陣が登場するので、字幕と見比べるという楽しみもありますね。

韓国で爆発的なヒットを記録したにもかかわらず、なぜか日本では2週間の限定公開という『10人の泥棒たち』。見逃さないように、劇場へはお早めに!
(映画ライター=斎藤香)
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『10人の泥棒たち』
2013年6月22日公開
監督:チェ・ドンフン
出演:キム・ユンソク、キム・ヘス、イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、サイモン・ヤム、キム・スヒョン、キム・ヘスク、オ・ダルス、アンジェリカ・リー、デレク・ツァンほか
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