思い起こせば、記者のとうちゃんは、毎日夜遅くまで働いていました。記者ともあまり顔を合わせることもなく、ひたすらに仕事……昭和って、そういう時代だったかもしれません。
自分がぼやぼやしたライターをしているのはそんな父親へのアンチテーゼかもしれない、のですが。まあそれはそれで幸せだなあと、テレビを見ておなかをかきながら原稿を書いているときに思ったりします。
今回ご紹介するのは、アメリカで話題になった1編のコミック。アメリカの有名漫画家、ビル・ワタ―ソン氏の言葉を、彼の作風にならってコミック化したものです。
「BILL WATTERSON: A cartoonist’s advice(マンガ家ビル・ワタ―ソン氏からのアドバイス)」
自分の価値をちゃんと証明するような人生、自分のこころを満たすような人生。
実現することは、なかなか難しい。
「グローバル広告社」
強欲さとかやり過ぎの努力とかが「いい生き方」なのだ、
なんて無責任にオススメするようなこの文化のなかでは……
自分の仕事に満足してる、なんていう人は、
ぶっ壊れていると言わないまでも、変わり者だとみなされる。
「辞表」
なにかを望むということ、イコール、成功への階段を上り詰めようとすること。
それ以外の望みは、ちゃんと理解してもらえない。
仕事以外の興味とか活動ができるようにと、のんびりした仕事をしていると……
おかしなやつだと思われる。
家庭にとどまり、子供を育てるために自分のキャリアを手放したら、
能力を無駄にしていると思われる。
役職やら給料やらだけが人間の価値なのだよ、とでも言わんばかりだ。
時にたくみな言葉で、きみは何度も何度も聞かされることになるだろう。
上昇志向を失うんじゃないと……
自分の居場所に、自分のありかたに、自分のしていることに、満足するんじゃないと。
自分を売り飛ばしてしまう方法なら、それこそ何万通りもある。
いつだってその方法とかいうものを、きみはオススメされることになるだろう。
人生の意味をちゃんと、つくり上げること。それは簡単なことではないけれど……
それでも、不可能なわけじゃない。
だから僕は思う。そのほうが、大変ではあるけれど、きみは幸せになれる。
ビル・ワターソン
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この言葉は、1970年代にアメリカで人気を集めた新聞連載マンガ『カルビンとホッブス』の作者であるビル・ワタ―ソン氏が、1990年に米ケニヨン大学での講演で語ったもの。
かつて『カルビンとホッブス』で有名になったワターソン氏ですが、その終了以降は仕事をセーブし、のんびり暮らしているのだそうです。その人気ゆえに連載中はとても忙しく、そのせいでひどく嫌なことを経験することも多かったのだとか。
この一節をコミック化したのは、オーストラリアでイラストレーターとして活躍しているギャヴィン・アウン・サン氏。変幻自在の作風で、世界のさまざまな名言を自身のWebサイト『ZEN PENCILS』にてコミカライズしています。
仕事に競争に疲れたとき、ちょっと立ち止まって、どんな自分だったら幸せなのかを考えてみるのは悪くないかもしれませんね。
参照元:ZEN PENCILS
(文=纐纈タルコ/翻訳協力=鷹泊千里)
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