皆さんのうち、航空会社勤務というものに憧れたことがある人は多いのではないでしょうか。実は……記者も十数年くらい前、憧れと勢いのみでJALさんを受験してみたことがあります。でも、サクッと書類で落ちちゃったよ! ぐやじいー! 

そんな気持ちを十数年間抱えていましたので、今回JALのグランドスタッフさんのコンテストがあると聞きつけ、記者との違いを確認しに出かけてみました。「記者の審査を見る目は、審査員以上に厳しいわよ」と意気込んで、ね。

■台風で出発時刻が3時間も遅れているという設定でのロールプレイ審査

潜入したのは、グランドスタッフさんたちがカウンターでロールプレイをする審査。羽田空港が台風の影響を受けて出発時刻が3時間も遅れているという設定です。しかもJALの連絡先電話番号やネットが、台風の影響でアクセスが殺到し、つながらないという状況。ハードです。

しかも、お客様(役)は、
「飛行機が遅れているかもと思って調べようとしても、ネットも電話もつながらないし、電車も遅れているからタクシーで来たんです! タクシー代、払い戻してもらえますよね!
などと難題をふっかけてくる!
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うん、タクシー代ね。この対応方法なら、記者も知ってる! たしか、天候不良の場合は、航空会社が費用を払ったり、優遇措置をとったりすることはないの! 不可抗力だからね。航空会社のミスじゃないからね! だから記者がグランドスタッフさんだったら、この場合は冷静になって
「お客様、台風は不可抗力ですから、払い戻しはないのです」。
と、毅然と答える
よ!

■しかし、JALのグランドスタッフさんたちは違った!

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「○○さま、ご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。天候も悪いなか、空港までお越しくださって、ありがとうございます」

謝っとる! 感謝しとる! しかも、皆さんむちゃくちゃ親身になっとる! にこやか和やかに笑顔を作りながらも、申し訳ない顔もしている。すっごい高度な表情じゃない? 

その上で、
「誠に申し訳ありません。悪天候が原因ですので払い戻しはいたしかねます」
ときちんと伝えていらっしゃる。お客様に対してグランドスタッフさんたちが本当に申し訳なさそうだから、記者がお客様だったとしても「そっかあ……。じゃあ、仕方ないですね」と素直に言える気持ちになっちゃいそう。

そのほかにも、お客様の希望を最大限に叶えるためにいろいろと気働きをし、できないことは親身になりつつきちんとお伝えしているという態度ばかり。出場者10名、みなさんとても心のこもった対応。さすがはJAL地上職4500人中の10人、レベルが高すぎる!

ああ……、記者を採用しなかったJALさんは正しい! 記者にはこんな真心対応はできないよ。JALさん、余計な書類を審査させてしまってすみませんでした。

■日本らしい “おもてなし” の心を接客で表現

このコンテストは、JALは2011年から世界一の航空会社を目指してヒューマンサービスの品質を向上させようとして取り組み始めたことの一環で、コンテストは今年で2年目とのこと。

でもなぜ自然災害でJALの責任ではないのに謝罪をするの? 確かにやさしくて気持ちが良いけれど、JALの責任ではないのに! そう思って、教官のお一人に聞いてみたところ
「謝罪をしなさいと指導しているわけではないんです。ただ、お客様の目線で考えて、お客様の気持ちに寄り添うようにと指導しております。お辞儀やお詫びの言葉も、日本らしいおもてなしの心を表現しているものなのです」
とのこと。

■世界一を目指すらしいので、外国人の意見を聞こうとしたら……

この真心対応、日本人的にはすばらしい! だけど、JALは日本一を目指すのではなく世界一を目指しているので、外国人だったらどう思うのかしら。

そう考えて、会場にいた唯一の外国人で、審査員としてコンテストを見ていたアメリカン航空のサービスマネージャーの方にお話を伺おうとして近づいたところ、
「JALの接客態度は大好きだ。とてもとてもすばらしい!」
と同僚の方に話しかけている現場を目的。お話を伺うまでもなく、評価がわかっちゃったよ。外国人的にも、このサービスは、すばらしいらしい!

■コンテスト本戦出場者10名はアルメリアの花のバッチをつけています

このコンテストの本戦出場者は、JAL4500名のグランドスタッフのうちの選りすぐりの10名。昨年の出場者と合計して、世界に20名しかいない精鋭です。

この20名の方々には、アルメリアの花のバッチが貸与されます。JALを利用するときに空港カウンターでアルメリアのバッチをつけている人がいたら、その人はコンテスト本戦出場者という意味。

皆さん、JALを利用する場合はぜひ空港でアルメリアのバッチをさがしてみてくださいねん。彼女たちの真心対応はすごいから! 記者はもう、「恐れ入った」の一言しか言えませんよー!

(取材・写真・文=山川ほたる

▼優勝者の片山さんは福岡空港勤務▼

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▼受賞者の皆さん▼

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▼コンテスト出場者の皆さん。最前列が本戦出場者の10名▼

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