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駅前の喧騒を抜けて少し歩けば、いつものバーに到着。自分には、一日の終わりの時を過ごすための行きつけのバーがあり、顔馴染みのバーテンダーもいる。そんな大人ライフを満喫しているあなた。

このバーテンダーさん、一体何考えているんだろう? 

なんて思ったことはありませんか? 今回は、海外サイト「thought catalog」で掲載されているバーテンダーさんの本音をご紹介します。知っているようで実は知らないバーテンダーさんのこと。意外な「誤解」が満載です。うっかり恥ずかしいお客さんになってしまわないように、こっそりチェックしてみてくださいね。

誤解1)バーテンダーは、「本当の仕事」を見つけるまでの「仮の姿」である

バーテンダーのなかには、昼間に学校に通っていたり、クリエイティブな職業に就いていたりする人がたくさんいます。将来の目標や「本当の仕事」を見つけたうえで、バーテンダーの仕事もこなしているわけです。もちろん、バーテンダーの仕事そのものに魅力や生きがいを感じて、これを「本当の仕事」と位置付けている人も数多くいます。

実はこの仕事、勤務時間の割には収入が高く、総合的に判断すると、バーテンダーの人生満足度は普通の人よりもかなり高いと言えるでしょう。

誤解2)バーテンダーは、午後まで寝ている

「こんな時間に何で起きているの?」

午前中に街で誰かに会うと、必ず言われる言葉です。バーテンダーは午前中は寝ていると思われがちですが、実際は常識的な時間に起床して普通の生活をしようと心がける人も多いのですよ。

誤解3)バーテンダーには、アル中が多い

実はバーテンダーには、あまりアル中患者はいません。バーテンダーの多くは「酔う」ためではなく、テイストを「知り」、「確認し」、「味わう」ためにお酒を飲むからです。強いカクテルを飲んで大騒ぎをするよりも、最高級のウイスキーを少量たしなむ方が好きなのです。

誤解4)バーテンダーは、低学歴である

バーテンダーの仕事なんて誰にでもできると思っている人はいませんか? それは、大きな誤解です。学歴はバーテンダーになるための必要条件ではありませんが、優秀なバーテンダーの中には、大学時代に哲学や文化人類学を専攻していたり、非常な読書家であったりと、人並みならぬ知識を持っている人が多くいます。

あなたにカクテルを作ってくれているその人は、結構賢いのですよ。

誤解5) バーテンダーは、誘えば必ずついてくる

アリエナイっちゅうの―――!! 

おっと失礼。取り乱しました。バーテンダーは、当然お客様と目が合えば微笑みかけますし、こちらから話しかけることもありますが、お客様の個人的生活にかかわる質問は巧みに避けて、プライベートには立ち入りません。仕事が終わる時間を尋ねられても上手な嘘でごまかし、当然「お誘い」はお断りします。今後の仕事がやりにくくなりますからね。

誤解6)良いバーテンダーになるには、バーテンダー養成学校に行くべき

世の中に「バーテンダー養成学校」なるものが存在するのも事実ですが、本当に役に立つのは「実地の経験」です。そして残念ながら、経験のない新米を雇いたいと考える高級バーはほぼ皆無。つまり、良いバーテンダーになるには、まずは場末の吹き溜まりのようなバーから始めて経験を積み、少しずつレベルアップをしていくしかありません。時間もかかるし、努力も必要。数えきれないほどの恥ずかしいミスも経験し、嘘も少々つきながら、初めて一人前のバーテンダーになれるのです。

誤解7)バーテンダーは、あなたに好意を持っている

あなたのお気に入りのバーテンダーが優しくて気が利くのは、それが仕事だからです。バーテンダーがそこにいるのは、お金を稼ぐためです。あなたがバーカウンターでくつろいでいる間も、バーテンダーは白鳥のように水面下で動き回っているのです。

バーテンダーからサービスでカクテルがふるまわれた場合にも、それを純粋な友情や親切などと受け取ってはいけません。サービスを受ければチップでお返しをするのが常識です。チップなんて払いたくないって? バーテンダーに嫌われたお客様ほど悲しいものはありませんよ。

誤解8) 酔っ払いの相手をするのもバーテンダーの仕事

酔っぱらわれたお客様は非常に苦手です。お相手をするだけでも一苦労ですが、さらに、バーテンダーには責任があります。お客様が店を出た後に飲酒運転で死亡事故を起こした場合、法律的にも精神的にも、責任は私どもにまで及びます。お客様の状態に注意を払い、飲酒のペースをさりげなくコントロールするのも、優れたバーテンダーの仕事です。

誤解9) バーテンダーは、あなたに特別サービスをする

「カクテル濃いめでお願いね。」と頼むことは、無償のサービスを要求していることになるのでご注意を。通常より多めのリキュールを要求するのであれば、追加料金を請求されても文句は言えません。カクテルを作るときには、ベストなテイストに仕上がるようにリキュールの量を測って注ぎます。そのバランスを無視してでも「濃いめ」が欲しい場合には、素直に「ダブルで」とご注文下さい。

誤解10) バーテンダーには、「あなたに作ってあげたいカクテル」がある

バーテンダーのお気に入りのカクテルは、常に「自分用」です。お客様にお出しする場合は、素早く簡単に作れるカクテルが、お気に入りのカクテルです。だから、「バーテンダーさんのお気に入りのカクテルをお願い。」なんて間抜けなオーダーをするのは、やめた方がいいですよ。

いかがでしたか? 

「酔うためではなく、味わうために飲む。」

いい言葉ですねえ。「濃いめで!」といつも連呼していた記者は今、恥ずかしくって穴に入りたい気分です。みなさまも、飲み過ぎにはくれぐれもご注意を。素敵に飲んで、大人の夜をエンジョイしてくださいね。

(写真・文=中野麦子)
参照元:thought catalog