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猿の肉を食べちゃいました……。年末年始に親戚の住むモーリシャスで。

「今日はカレー・ジャッコーだよ!」と、大晦日のランチタイムに親戚たちがウキウキしながら話すので、「ああ、ジャッコー(夫の従兄、ジャックの愛称)が作ったカレーなのだなぁ」と思っていたのです。

だけど、夫はなぜかものすごく嫌そうな顔。「カレー以外の食べ物はないの? ああ、中華料理もあるのか。よかった!」なんて言っている。はて?

【猿肉カレーを食べた経緯】

出されたのは中華料理3種にカレー。ワンプレートに、中華とカレーが乗っちゃうところがいかにもモーリシャスらしい。カレーのソースを一口食べたところで一人の親戚に「カレーはおいしい?」と聞かれたので「いつも通り、ジャックが作ったカレーはおいしいよ!」と答えると、「カレーは、ジャックが作ったんじゃないよ」と言われました。

「へ? どういうこと? ジャッコーのカレーでしょ?」と聞くと、ジャックが「ジャッコーは、ぼくのことじゃなくてモンキー! MONKEY MEAT(猿の肉)! わかっていると思っていたよ!」と言った! がーん! 

【「ガーン!」と思いつつも食べた理由】

記者(私)は、テレビ番組で女優などが異国の地に行き、現地の人に出された食事に対して「げっ! ムリ!」という顔をしたり、涙目で食べたりするのを見るのが大っ嫌い。「それで自分の繊細さをアピールしているつもり!? なんて失礼な! その土地の食文化を尊重しなよ! ぷんすか!」と思っていたのです(まあ、女優などが嫌がるのを見て楽しみたいという番組側の思惑もあるかもしれないけどさ)。しかし、自分がまさか同じ立場に置かれるとは……。ただ、相手は気心知れた親戚だし、断っても大丈夫なはず……。

猿肉だと聞いて、瞬時に脳内でそんな葛藤がありましたが、結局食べましたよ。だって失礼だと感じたから。それを食べているモーリシャス人と、怒りを感じてきた女優たちと、すでに食べ物になっている猿肉に対して。

【お味は?】

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カレーのスパイシーさにまぎれていたため、お肉そのものの味がバッチリわかったわけではありませんが、鹿や猪の肉などのように野性的な趣あふれる風味。料理を担当した親戚によると、臭みをとるために酢に一晩漬け込んでおいたそうな。

固い食感でまずいわけではないのだけれど、難点は小骨が異様に多いこと。部位の問題か、ちっこい骨がたくさんあります。食べにくいことこの上なし。特に病みつきになるほどの味でもなく、好んで食べたいという肉ではありません。

【あえて珍しいものを食べさせてやろうという計らい】

モーリシャス人も日常的に猿肉を食べているかというと、そうではない様子。親戚もみな珍しがって食べており、スーパーでも鹿肉はあれど、猿肉は見かけませんでした。

モーリシャスは緑にあふれ、山に鹿や猿、野生化した豚などがいっぱい。今回の猿肉も、山で猿が増えすぎないように捕獲したものとのこと。とはいえ、子どもの頃から休みのたびにモーリシャスに行っていた夫は「一度も食べたことはないけれど、昔から話には聞いていた」と言っていますので、ある程度はモーリシャスの食文化として根付いたものではある様子。

親戚は今回、日本から私達夫婦が来て、フランスから夫の兄と姪が来たために「珍しいものを食べさせてやろうじゃないか」と頑張ってくれた模様。姪っ子はまだ17歳で、空気を読んでいたのかもしれないけれど「ジャッコー! ジャッコー!」と喜んでいましたので、親戚の計らいはある程度は成功。

【しかし、猿肉を食べるのは危険という意見も】

ただ、猿肉を食べるのは危険だという意見も。海外サイトIsland Crisisが獣医に話を聞いたところによると、猿肉を食べることをいくつかの国で禁じているのは、猿が人間に似ているからかわいそうだからという理由だけではないとのこと。

禁止の理由は、猿肉には、人畜共通感染症の原因になるウイルスを保有している可能性もあるからなんですって。さらにガーン! 猿肉を食べて部屋に戻ってすぐに正露丸を飲んだし、カレーのスパイスで滅菌されているだろうし、昔から食べている人たちがいるんだから、大丈夫だと思いたいけれど……。

そんなこんなの猿肉。皆さんが記者の立場に置かれたらどうする? 猿肉、食べますか?

(取材・文=FelixSayaka