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社会主義時代の東欧諸国を題材にした本『共産主婦ー東側諸国のレトロ家庭用品と女性たちの一日』(社会評論社)がツイッター上で話題を呼んでいます。通販サイトでは品切れになるほどの大反響。

内容が面白いのもさることながら、写真がキレイなのも人気の理由かも? その内容と見所をお伝えしたいと思います!

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●東欧で暮らす主婦たちの日常が描かれている
旧ソ連支配下による社会主義体制の東欧諸国で暮らす、1970〜1980年代にかけての主婦たちが主人公。全ページフルカラーというなんとも豪華な本です。

東ドイツ、ポーランド、旧ソ連、ハンガリー、チェコスロバキアにブルガリアなど、なかなか当時の事情を知るのは難しい東欧の日常を、各国の衣装に身を包んだ可愛らしいお人形(共産主婦)がナビゲートしてくれます。主婦たちの暮らしぶりから週末や休暇中の過ごし方まで分かりやすく、読みやすいタッチで描かれています。

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●見所 その(1)レトロでキュートな東欧雑貨
女子が大好きな雑貨! マッチのラベルや切手に文具、お菓子の缶に陶器など、レトロ可愛いデザインの雑貨や食器がたくさん収録されています。現在は失くなってしまったり、他国企業の傘下に入ってしまった企業のものもありますが、社会主義体制下でも守り続けられた伝統や文化が感じ取れる雑貨がいっぱい。

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●見所 その(2)当時の食生活
社会主義というと貧しいイメージがつきまといますが、意外にも当時の食生活はしっかりした内容となっています。

例えばハンガリー。当地では正餐が昼食ということで、お昼にはカツレツなどの肉料理を食べるようです。また、学校給食では「グーシャ」と呼ばれるパプリカを使った牛肉のスープが金曜日の定番メニューになっているのだそう。それにしても東欧は肉料理や具だくさんのスープが多いんですねぇ!

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●見所 その(3)コラムと雑学
「コンドームと中絶」や「生理用品」に「タバコ」など、 旧共産国に共通するモノや事柄を綴ったコラムは秀逸。

また、ブルガリアでは30歳以上の独身者には収入の1割が独身税として徴収されていたという「独身税」や、主婦たちが待ちわびていた3月8日の「国際女性デー」(男性が家事を手伝ってくれたり、花をプレゼントしてくれたりするという社会主義国共通の祝日)といった雑学もちらほら。

全体を通しての感想は、写真と解説、コラムを通じて当時の主婦たちの暮らしぶりが手に取るように分かるということ。仕事と家事をこなす共産主婦たちの多忙を極める毎日は、現代の私たちに通じる面も。東欧文化が少しだけ身近なものに感じられました。

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著者のイスクラ氏は2005年より東ヨーロッパ地域の雑貨を取扱うネットショップ「イスクラ」を運営しており、東ドイツを中心に東欧諸国に造詣の深い方のようです。兵庫県の尼崎市に週末限定オープンのショップ「東ドイツの部屋」を営業しているそう。

巻末には著者オススメの東欧諸国の博物館情報も掲載されていいます。『共産主婦』で東欧諸国に興味が芽生えたなら、当時の暮らしをより詳しく知るために博物館を訪れてみるのもよいかもしれませんね。

参照元:Twitter@DDRplanet(イスクラ★プラネット)
レビュー・撮影・執筆=sweetsholic (c) Pouch