「それ」を見たら恐怖に襲われて死んでしまう。

ある日突然、世界を襲った謎の現象。東欧で集団自殺が起こり、異常行動を起こす人が次々現れます。回避する方法はただひとつ、「視界を覆う」ことだけーーー。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画シリーズ『バード・ボックス』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

2018年に配信を開始した『バード・ボックス』の主人公は、妊娠中のマロリー。

病院の帰り道、「それ」のせいで街中が大パニックになり、行き着いた家で見知らぬ人たちと暮らすことになります。外に出れば、「それ」のせいで死ぬことになる。けれど家の中も安全とは言い切れない……。

現在と過去を行き来しながら、マロリーの身に起きた出来事を辿っていきます。

Merrick Morton

2023年に配信を開始した『バード・ボックス: バルセロナ』の主人公は、「それ」の脅威に包まれたバルセロナの街で、幼い娘と行動を共にする父・セバスティアン。

道行く人に声をかけて、一緒に行動させてくれと懇願しますが……セバスティアンの行動や挙動がどこか変。それに、セバスティアン以外の人々には「娘」の姿が見えていないようなんです。これっていったい、どういうこと?

【ココが見どころ!】

<その1:「それ」とはなんなのか>

2つの作品の軸となる「それ」は、いつも外にいて、姿を見ると自殺衝動に襲われてしまいます。

回避する方法は、カーテンを閉め切って家に引きこもるか、目隠しなどで視界を防ぐしかないのですが、それでも、謎のささやきが「目を開けろ」と誘惑してくるのです。

『バード・ボックス』シリーズでは人が次々に目を開けてしまい亡くなります。こうした描写が苦手な人は、よく熟慮したうえで、鑑賞するかどうか判断してください。

<その2:「それ」を見ても平気な人たちもいる>

このシリーズで不思議なのは「それ」を見ても全然平気な人たちがいること。

しかし、彼らは正気ではないようで、集団で行動し「目を開けろ」と人々に強要! ナイフをつきつけたり、手で無理やり目を開けさせたりと、もはや「それ」と同等に恐ろしい人たちなんです。

1作目『バード・ボックス』には「心に闇を抱える者=『それ』を見ても平気な人たち」と示すシーンが出てきます。

そして、2作目『バード・ボックス: バルセロナ』には、「それ」を見ても平気な人たちで構成されたカルト集団が登場するのです。「それ」とは違った角度から恐怖を突きつけてくるところも、本シリーズの魅力!

<その3:親子の物語でもある>

『バード・ボックス』シリーズは、親子を描いた作品でもあります。

1作目『バード・ボックス』のマロリーは、自分が親になることに前向きになれず、子どもを産んでからも名前を付けずに「ボーイ」「ガール」と呼んで育てます。

しかし、子どもたちと一緒に恐怖から逃げ続ける中で、母親としての愛情が芽生えてゆくのです。

Saeed Adyani

2作目『バード・ボックス: バルセロナ』のセバスティアンは、娘という存在に囚われ続けています。けれど、娘と同じくらいの年齢の少女と出会ったことで、どんどん自分を取り戻していくのです。

【不気味な世界を見ることになる】

安全地帯を求めてサバイバルするSF映画シリーズ『バード・ボックス』。

世界観こそ同じですが、続編ではなく、それぞれ独立した作品なので、好きな方から鑑賞してOK! だけど、個人的には1作目『バード・ボックス』から鑑賞するのがオススメです。

なぜなら、「それ」の脅威のはじまりと、「それ」を見ても平気な人たちの恐ろしさを見せてくれるから。

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人の恐怖心を取り込んで、捻じ曲げてゆく「それ」。正体不明だからこそ、なおのこと不気味な、『バード・ボックス』の世界をお楽しみください。

■今回紹介した作品

Netflix映画『バード・ボックス』(原題:Bird Box)
2018年12月21日から独占配信中

Netflix映画『バード・ボックス: バルセロナ』(原題:Bird Box Barcelona)
2023年7月14日から独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
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