いつやってくるのかわからない、この世の終わり。自然災害なのか、疫病なのか、はたまた人災なのかーーー。

ご紹介するのは、ありふれた家族との週末が「終末」へと変わってゆくお話です。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画『終わらない週末』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

多忙な毎日を送っていたアマンダと夫のクレイは、ある週末に子どもたちを連れてバカンスを楽しみに。ゴージャスな海沿いの別荘を借りて、思い思いに過ごす一家。息子のアーチーや娘のローズも、プールをやビーチで大はしゃぎしています。

でも、なにかがおかしい。Wi-Fiもネットもつながらないし、テレビすら映らないし、別荘の外でも奇妙な出来事が立て続けに起きています。そうこうしているうちに、1組の親子が別荘を訪ねてきました。

果たして彼らの正体は……?

【ココが見どころ!】

<その1:何が起きているのかわからない不穏な展開>

色鮮やかな映像美に引き込まれる本作。そのいっぽうで、最初から最後までずーーーっと不穏なムードが流れているんですよね。

ある日突然、通信手段や情報源がシャットアウトされる。不審な人物が現れる。動物たちが異常な行動を見せたり、ありえない事故が続発したりする。

映像が美しいぶん、そうした出来事のひとつひとつが、よりいっそう不気味に感じてしまうのです。

いったいぜんたい、この世界に何が起こっているのかーーー。得体の知れない恐怖と戦いながら、物語の結末を推測しながら鑑賞してみて。

<その2:悲劇を俯瞰でみると「喜劇」である>

なにが起こっているのかよくわからないまま、右往左往するアマンダ&クレイ一家。

恐怖におびえて、喚き散らし我を忘れる姿は悲劇的ではありますが、俯瞰でみるとかなり滑稽。かのチャールズ・チャップリンの名言「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」を地で行くような展開です。

明らかに終末が迫っているのに、大好きなドラマの最終回が気になっちゃう描写もかなりシュール。けれど、終末って案外そんなものかもしれません。

<その3:豪華俳優陣の夢の共演>

本作の予告編を初めて観たとき、あまりにも豪華すぎるキャスト陣に驚いたものです。

妻・アマンダはジュリア・ロバーツさん、夫・クレイはイーサン・ホークさん、別荘を訪ねてくる客人はマハーシャハラ・アリさん。

さらには、不可解な行動をとる隣人としてケヴィン・ベーコンさんまで出演しているではありませんか。あまりにも「ケヴィン・ベーコンの贅沢な使い方」すぎる……!

監督を務めたのは、ドラマ『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』シリーズなどを手がけるサム・エスメイルさん。バラク・オバマ&ミシェル・オバマ夫妻も製作陣に名を連ねていますよ。

【この結末をどう思う?】

未曽有のパニックが起きると、人間は手も足も出ず、ただ立ち尽くすだけ。もはや、ドラマの最終回を観ることしか、やることがないーーー。

そんな無力感すら感じさせる本作は、とにかく「余白」が多い作品です。

余計な解説がないため、出てくるシーンすべてに「意味」を感じてしまう。物語に余白があるからこそ、目をそらす暇もなく引き込まれ、あれこれ推測してしまうのです。

結末のとらえ方も、おそらく人それぞれなのかもしれません。だからこそ、鑑賞したあと誰かと語り合いたくなるはず!

■今回紹介した作品

Netflix映画『終わらない週末』(原題:Leave the World Behind)
2023年12月8日より独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:JoJo Whilden、Courtesy NETFLIX ©2023 NETFLIX, INC.