逃亡の果てに、交通事故に遭ってしまった1人の女性。かつて行方不明になった女性ではないか、と疑われますが調べてみたら全くの別人でした。

ところが、女性と一緒にいた子どもは、行方不明になった女性の幼いころと瓜ふたつ

一体、この女性は何者?この女性を「ママ」と呼ぶ子どもの正体は……?

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixドラマ『汚れなき子』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

幼い子どもたちと一緒に、楽しく遊ぶ女性。家と思しきその場所は、ほんのりと薄暗く、窓もドアも頑丈なカギで施錠されています。

そこへ、1人の男性がやってくると3人は急いで一列になり手のひらを見せるのです。

次の瞬間、女性は着の身着のまま、監禁されていた場所から逃げ出します。暗い森を抜けて、ようやく人気のある場所に辿り着きますが、あろうことか車にはねられてしまうのです……。

【ココが見どころ!】

<その1:女性は何者なのか、そして何が起きているのか>

病院へ向かう救急車の中で、女性の娘・ハンナは「ママはAB型のRhマイナスよ」とつぶやきます。13年前に行方不明になった・レナの血液型こそが、AB型のRhマイナスだったのです。

ところが、輸血しようとしたら血液型が全く違うことが判明!

おそらく、視聴者のほとんどがこの状況に困惑するでしょう。そして、このモヤモヤする感じは最後まで続きます。

女性は何者なのか、そもそも何が起きているのかーーー。筋書きが全くわからない恐怖に震えてください。

<その2:子どもの存在が不穏すぎる>

本作のキーパーソンはハンナ。何を考えているのかわからない表情、そして行動……彼女の一挙手一投足がいちいち不穏なんですよ。

闘病中のママ(女性)にガラスの破片を手渡しながら「パパが見ているよ」と囁やいたり、ことあるごとに「言われたとおりにした。私はもう大人。何も間違っていない」とつぶやくのです。

さらには、ヨナタンという弟がいるのに、なぜか一緒にいないんです。その理由はある思惑がハンナにはあるから。物言わぬハンナの胸中やいかに!?

<その3:2転3転しながら進むスリリングなストーリー>

監禁されていた母親と子ども。しかも子どもの父親は、彼らを監禁している張本人。

映画『ルーム』(2016年)を彷彿とさせるストーリー展開ですが、その実態はまるで違う!

クライマックスへ近づいていくたび、あれよあれよと欠けていたピースが埋まるようなんです。

「おそらくこうなるな」と推測しては裏切られる、スリリングな展開に引き込まれてゆくことでしょう。

【ヒントが散りばめられています】

ちなみに、本作における「パズルのピース」を埋めるヒントは、ハンナが描いた絵。なんてことのない些細なシーンにもヒントが隠れているので推理しながら楽しんでみてください。

1話あたり約50分&全6話とタイトなシリーズなので、考察を楽しみながら鑑賞しているうちに、あっという間に完走してしまうはず。

Netflixのリミテッドシリーズは傑作が多いと思うのですが、本作も非常に面白い! ドラマ『ダーク』をはじめ、名作を続々生んでいるドイツ発のドラマと知って合点が行きました。

■今回紹介した作品

Netflixドラマ『汚れなき子』(原題:Liebes Kind)
リミテッドシリーズ配信 2023年9月7日

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Courtesy © 2023 Netflix, Inc.