[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは、アン・ハサウェイ主演作『マイ・インターン』(2015年10月10日)です。
この映画は、アンが、ファッションサイトの社長として活躍する姿を描く、あの名作『プラダを着た悪魔』の続編と言われている作品。そして今回の共演者は、名優ロバート・デ・ニーロ。なんと70歳の新人インターンとして登場します。マフィア役のイメージが強いデ・ニーロですが、怖さは皆無! こんなデ・ニーロ見たことないってくらい新しい一面を見せてくれるんですよ。
【物語】
ジュールズ(アン・ハサウェイ)は若くしてファッションサイトの社長になり、ニューヨークにオシャレなオフィスをかかえるワーキングウーマン。やさしい夫が主夫として子供の面倒を見てくれるし、事業も順調です。
そんな彼女の会社が福祉事業の一環として、シニア・インターンを募集。合格したのはベン(ロバート・デ・ニーロ)。妻を亡くして独り身の彼が心機一転、働こうと門を叩いたのがジュールズの会社だったというわけです。
最初は、面倒くさいとベンに冷たくあたっていたジュールズだけど、ベンはたちまち会社の若い社員たちの相談相手に。40歳年下のジュールズの仕事にも誠実に思いやりをもって行うベンを、ジュールズは徐々に信頼するように。やがて、心に秘めていた悩み事を彼に打ち明けるのです。
【頑張るほどに辛くなる……働く女性の心を描く】
かつて『プラダを着た悪魔』で、鬼編集長にこき使われていたアン・ハサウェイが、今度は社長として40歳年下のインターンを使うなんて「ま~、出世したわね!」と思わずにいられません。
ジュールズはシニア・インターンのベンに対して、最初は冷たく「おじいちゃんに何ができるの?」と言わんばかり、しょーもない用事ばかり押し付けたりして……。
でもそんな彼女の気持ち、ベンにはお見通し。なぜなら、彼女が頑張っている姿をちゃんと見ていたからです。ジュールズは、急成長した会社をまとめるのに必死。夜遅くまで働いて、時間がもったいないと社内も自転車移動するくらい多忙です。家に帰れば、彼女の夢のために主夫になった夫や娘のために笑顔を振りまき、母親の愚痴も電話で聞いて……。
そしてひとりになると、会社の将来や不安が常につきまとうのです。不安を払拭しようと頑張るけれど、頑張ってもどこかにほころびが出てくる、そんな毎日が苦しいジュールズ。
これ、働く女子は大共感でしょう。「ああ、わかる!」と、頑張っている人ほど強く思うはず。だからこそ、ベンの存在がとても重要になってくるんですよ。
【ちょい枯れダンディなデ・ニーロの魅力】
ジュールズの夫はやさしいけれど、仕事を諦めて主夫生活していることへの不満もたまっています。仕事と家庭に板ばさみになり、折れそうなジュールズの心を支えてくれるのがベン。
彼の行動はかゆいところに手が届くような心地よさがあり、その励ましの言葉は「自分はこれでいいんだ」と自信を持たせてくれるのです。
心の奥の悩みって、意外と家族には打ち明けられなかったりするじゃないですか? その受け皿になってくれて、癒してくれたり、エネルギーを注入してくれたりするのがベンなのですよ。それも演じているのはロバート・デ・ニーロ! 説得力のある演技と、ちょい枯れダンディな魅力で、働く女性たちをメロメロにします。「彼が私の側にいてくれたら」って、絶対に思いますよ!
【ジュールズの魅力は自己弁護しないところ】
アン・ハサウェイはジュールズの魅力をこう語っています。
「彼女は、物事がうまく進まなくても “なんてことしてくれたの?” とか人のせいにしないの。 “私が悪いのかな。どうしたらうまくいくかな。挽回したい!” と考えるところがいい気質だと思うわ」
そういえば、ジュールズは顧客トラブルもクレーム担当に任せたりせず、自分で行動を起こしますからね。よりよくするためにはどうしたらいいか、現場をしっかり見ているところは本当に良い社長。だから忙しくなっちゃうんですけど。
働く女性、必見の映画『マイ・インターン』。もちろんファッションサイトの社長ですから、アン・ハサウェイのさりげないオシャレやNYの街並みなど、ヴィジュアルも見どころ満載です。これはぜひ女子同士で見て、語り合ってほしい映画ですね。
執筆=斎藤 香(C)Pouch
『マイ・インターン』
2015年10月10日より、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー
監督&脚本:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソほか
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▼映画『マイ・インターン』予告編
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