
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは、以前ポーチでも記事になった、音痴のソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの実話をベースにしたフランス映画『偉大なるマルグリット』(2016年2月27日公開)です。
フローレンスは常に自信に満ちあふれ、前向きな女性でした。そのスピリットはフランス映画版のヒロインにも受け継がれているものの、さすがフランス映画、本作は夫婦の愛の物語。彼女が歌い続けるのは孤独を癒し、夫の愛を得るためなのです。
【物語】
デュモン男爵(アンドレ・マルコン)の邸宅でサロン音楽会が開催され、デュモン夫人のマルグリット(カトリーヌ・フロ)が登場。彼女は「夜の女王アリア」を歌い上げますが、その声は壊滅的な音痴!
それでも集まった人々は礼儀上、拍手喝采。その客人の中に紛れ込んだ音楽記者は、わざと彼女の歌声を絶賛するような記事を書き、パリで開催される音楽会に出演しないかと誘います。大喜びのマグリット。しかし、彼女の奇声を知っている夫のデュモン男爵はなんとか阻止しようとしますが……。
【みんなが私に夢中! という、切ない勘違い】
実在した音痴歌手のフローレンスさんは、音楽が好きで「下手」という声には耳を貸さずに邁進しておりますが、この映画のマグリットのキャラクターはフローレンスとは違います。
マグリットが音楽好きなのは確かですが、夫が浮気しており、孤独感を深めており、音楽で孤独を癒し、音楽で彼を振り向かせようとしているのです。しかし、彼女は壊滅的な音痴で、彼はますます遠のいていく……という。実は彼女、自分が音痴であることに気付いていないのです。誰も指摘できないので、勘違いしたまま、歌い続けているのですよ。
サロンの中でなら許せても、この歌声を世に出すわけにはいかないと、夫のデュモン男爵は必死に止めようとします。でも実はそこからすれ違っていた二人の愛は動き出すのです。男爵は、彼女が本当のことを知ったら傷つくことがわかっているから。
最初に彼女の歌声を聴いたときはギョっとしますし、思わず笑っちゃいますが、だんだん切なくなってきます。皆、本人の前では大絶賛。でも影ではコソコソ言われていて、キワモノ扱いされているマグリットが気の毒というか切ないというか……。でも本当のことをどうやって伝えたらいいのか、それを知ったとき、彼女はどう思うのか。そこがこの映画のキモですね。
【情熱が幸福を引き寄せる】
グザヴィエ・ジャノリ監督が、この映画のアイデアを得たのは、もちろんフローレンス・フォスター・ジェンキンスの歌声を聴いたことがきっかけです。
「10年前、彼女の声をラジオで聴きました。“夜の女王アリア” を歌っていたのですが、普通じゃない歌声で、それがとても面白くて神秘的な声でした。彼女は自分の歌声がひどいことに気付いておらず、社交界で歌っていたのですが、誰も音痴だと言い出せなかった。それは、彼女がとても裕福な女性で、周囲の人々は偽善者かお金目当てだったから。これは人間の残酷な一面を現しています。これぞ自分が探究したいものでした」
ジェンキンスさんの歌声だけでなく、彼女を取り巻く状況もマグリットは同じように描いていますが、監督の解釈も加えています。
「マグリットは情熱に従って生きていますが、人生に切り離せない喜びと苦しみを経験します。残念ながら情熱が優れた才能に切り換わることはありません。人生ではその2つは関係ないと気付くことがありますから。でも、厳しい現実や社会の偽善や残酷さから自分を遠ざけるのにはユーモアが必要。マルグリットが歌う姿には、人は人、自分は自分という解放感があるのです」
確かに! 音楽への熱い情熱を持って続けていても、その才能が開花するのは一握りの人間でしょう。でも好きだから歌う、歌っていると気持ちがいい、幸福ならば、それもありです。
幸福は決して成功することだけじゃない。好きなことができたり、情熱を持って取り組めたりすることが幸福なのだとマグリットは教えてくれます。
ちなみにジェンキンスさんは映画界で大人気? で、ハリウッドでも映画化(主演はメリル・ストリープ)されています(公開待機中)。まずはフランス版を見ておきましょう!
執筆=斎藤 香(C)Pouch
『偉大なるマルグリット』
(2016年2月27日より、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー)
監督:グザヴィエ・ジャノリ
出演:カトリーヌ・フロ、アンドレ・マルコン、ミシェル・フォー、クリスタ・テレほか
(C)2015 – FIDELITE FILMS – FRANCE 3 CINEMA – SIRENA FILM – SCOPE PICTURES – JOUROR CINÉMA – CN5 PRODUCTIONS – GABRIEL INC.
▼『偉大なるマルグリット』予告篇








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