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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、韓国映画『怪しい彼女』のリメイク『あやしい彼女』(2016年4月1日公開)です。

73才の毒舌おばあちゃんが20才に若返り、青春を取り戻すストーリー。オリジナルの世界を踏襲しながら、日本を舞台に70代の心を持った20才のヒロインが弾けまくる作品になっています。とにかく明るく楽しく、そして最後はホロリと感動できる王道エンタメ。

主演は多部未華子、演出は『謝罪の王様』などのヒットメイカー、水田伸生監督が手掛けています。

【物語】

瀬山カツ(倍賞美津子)は、商店街でも有名な毒舌ばあちゃん。楽しいけれど、ちょっと面倒くさいおばあちゃんです。彼女の自慢は、出版社に勤めるエリートの娘・幸恵(小林聡美)とバンドに夢中の孫・翼(北村匠海)。

しかし、忙しい娘にかわって孫育てをしてきた苦労話を連発するカツに、幸恵は「恩着せがましいのよ!」と怒り、2人はケンカに。カツは家を飛び出してしまいます。そのときに見つけたのが謎の写真館。吸いこまれるように入っていくカツ。

そして写真を撮ってもらって写真館を出ると、カツは不良にからまれますが、いつもの強気で一喝! そのとき、バイクのミラーに写った自分を見てカツはビックリ。なんと、若い頃のカツ(多部未華子)に変身していたのです!
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【韓国映画のリメイク大成功!】

韓国映画『怪しい彼女』は日本でも話題になりましたから、そのリメイクはけっこうなプレッシャーだったかもしれません。でも日本版『あやしい彼女』は大成功! オリジナルの持つおばあちゃんが青春を取り戻し、イキイキと青春する姿や、周囲の人とのわだかまりを解きほぐしていく展開がよく、見終ったあと幸福感に満たされる映画になっています。

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その成功の鍵を握っていたのは20代になったカツを演じた多部未華子。ヒロインが多部ちゃんで本当に良かった! 心は73才の毒舌なカツさんのままで、新ネーム大鳥節子として青春を謳歌する姿がかわいくてかわいくて。
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「青春やり直し、好きなことするわよ~」と、歌手の夢を叶えて、ステージに立つ節子。昭和歌謡からオリジナル曲まで、大鳥節子のデビューがそのまま多部未華子の歌手デビューのよう。清潔感と愛らしさが弾けまくって、見ていてすがすがしかったです。

【実は歌が苦手だった多部未華子】

クランクインの3ケ月前からボイストレーニングをしていた多部未華子嬢。「歌にはあまり自信がない」と言っていたそうですが、映画を見た後では「ウソでしょ」と信じられないくらいです。
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劇中歌をプロデュースした小林武史氏は、本番のレコーディングで仮歌のときとは別人のような歌唱を披露する多部さんに驚いたそうです。ちなみに、ヒロインに多部未華子を抜擢したのは水田監督。彼女が出演した舞台を見に行き、その歌声を聞いて「彼女ならイケる」と決めたそう。

いかにも歌唱力ありますという歌い方ではないところがいいんですよ~。声に透明感があって、品よくやさしい歌声。自分の歌声の良さに気付いていないから、歌い方にも変なクセがなく、そこがいいのですね。

【助演陣も魅力的!】

ヒロインを盛り上げる助演陣も魅力的なメンツが揃い、彼らもこの映画を大いに盛り上げています。いちばんの収穫は、カツの孫・翼を演じる北村匠海。実際にバンドを組んで活動しているミュージシャンでもあるのですが、コメディリリーフ的に笑わせたかと思ったら、劇中のバンドのシーンではかっこよく決めて見せたりして、表情豊か。今後の活躍を見守りたい気持ちに!

カツを演じる倍賞美津子、娘を演じる小林聡美は安定の演技。そしてラストに特別出演しているイケメン俳優の野村周平! どんな役かは見てのお楽しみですが、最後に爆笑させてくれますよ。

ときどき「中学時代や高校時代に戻りたいなあ」と思うことありませんか? そのときに「今度はこんなことやってみたい」と夢を抱くこともあるでしょう。その夢を実現したのが瀬山カツ! カツさんの青春に乗って昭和プレイバックしましょう。60年代のファッションも素敵ですよ。

執筆=斎藤 香(c)Pouch

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『あやしい彼女』
(2016年4月1日より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー)
監督:水田伸生
出演:多部未華子、倍賞美津子、要潤、北村匠海、金井克子ほか
(C)2016「あやカノ」製作委員会 (C)2014 CJ E&M CORPORATION

▼映画『あやしい彼女』予告篇