nakahara

8月15日は、終戦記念日。そして雑誌「それいゆ」の創刊日でもあります。女性のための雑誌「それいゆ」が登場したのは、日本が1945年に終戦を迎えたその翌年、1946年8月15日です。つまり今年2016年8月15日は、創刊から70年目という節目にあたります。

その記念すべき年に、ソレイユ創刊号(後に「それいゆ」表記に変更)から抜粋された実際の誌面が、中原淳一さんの公式サイトに期間限定で公開されています。

【戦後を生きた女性たちに、夢と希望を与えた雑誌】

画家でファッションデザイナー、編集者、イラストレーター、そして人形作家と多彩なことで知られる中原淳一(なかはら じゅんいち)さんによって創刊された「それいゆ」は、日本女性誌の長い歴史を語るうえで欠かせない存在。

「女性の暮らしを新しく美しくする」という中原さんの強い思いが元となって誕生したこの雑誌。特設サイトの1ページ目に記載された「全てが貧困で夢を忘れた女性たちに向けて」という言葉が強く胸に刺さります。

【今見ても、すっごくワクワクする!】

ページをめくるごとに目に飛び込んでくるのは、洋装や和装の美しいスタイル画、幅広いバリエーションのファッションページに、現代でも充分通用しそうな可愛らしい髪型カタログ。

女心をくすぐる可憐なイラストや、上品で華やかな女性モデルたちによるグラビア写真を眺めていると、終戦のわずか翌年で、まだ混乱のなかにあった頃に発行された雑誌だということをつい忘れてしまいます。

【「私たちは人間である」】

9月末まで公開されているという創刊号には、見どころがたくさんありますが、特に私の印象に残ったのは、最後に記された編集後記にある一節。

「こんな本はくだらないと言われるかも知れない。お腹の空いている犬にバラの花が何も食欲をそそらないように。然し私達は人間である!!」

【もう70年、まだ70年】

戦後の慌ただしい日々を過ごしていた当時の女性たちに、美しさと文化を、そして夢や希望、キラキラと輝く未来があるのだということを改めて気づかせてくれた雑誌だということが想像できます。

70年前の乙女たちに思いを馳せつつ、「それいゆ」に目を通してみてはいかがでしょうか。

参照元:中原淳一公式サイト・創刊号ソレイユno.1Twitter @himawariya_info
執筆=田端あんじ (c)Pouch