
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、三代目J Soul Brothers、EXILEのメンバーでもある岩田剛典さん、斎藤工さん出演のミステリー映画『去年の冬、きみと別れ』(2018年3月10日公開)です。
中村文則さんの同名原作の映画化作品で「すべての人が、この罠にハマる。」というキャッチコピーがホンモノと評判。すでに「ダマされました~」という声が多いのです!
(以下、ネタバレを含みます)
【物語】
目の不自由な女性、吉岡亜希子(土村芳)が焼死体で発見される事件が起こり、天才写真家の木原坂雄大(斎藤工)が容疑者として逮捕されました。彼は被害者を助けることなく現場にいたからです。被害者の女性は彼のモデルでした。
この事件を追いかけていたのが、フリー記者の耶雲恭介(岩田剛典)。婚約者の松田百合子(山本美月)との結婚を控え、大きな仕事をしたいと週刊誌に売り込みを開始し、やる気を見せます。
編集者の小林良樹(北村一輝)は気乗りしなかったけれど、上司に押し切られて担当編集者に。
耶雲はさっそく執行猶予付きで釈放された木原坂のスタジオへ取材に行くのですが、ここから猟奇的殺人事件の真実がジワジワとあぶりだされていくのです。
【原作超えした映画化作品】
中村文則さんの原作は、だいぶ前に読んでいました。一人称、二人称が入り組んでいて「いま誰の視点?」と、文章に振り回されるというか、目くらましにあうような巧みな文体のミステリー小説。
しかし、この映画ではフリー記者・耶雲を中心に物語が展開するように脚色しています。彼が取材をする殺人事件の関係者の発言や過去から、事件の真相が浮かび上がってきます。
さらに映画では時間軸のトリックが最大のポイント。最後まで見ると「ああ、そういうことか!」と自分が騙されていることに気づきました。原作の持ち味を活かしつつ、映画ならではの演出がほどこされています。
小説だと想像力に頼るしかありませんが、映像化されることで内容が整理され、私としては原作以上に楽しめました。
【登場人物たちの嘘と真実】
耶雲が売り込みをしてから取材を開始していくうちに明らかになっていく、焼死事件と木原坂のプロフィール。あくまで耶雲の行動ありきの展開になっていきます。
そこに取材対象の木原坂、木原坂の姉・朱里(浅見れいな)、耶雲の恋人の百合子、編集者の小林のエピソードが重なっていくのですが、この登場人物たちの言動にはたくさんの嘘があり、その裏には真実が隠されています。
ヒントを少し提示しますと
・木原坂が関わる焼死事件に、耶雲が取り憑かれたように取材執筆する理由
・耶雲と百合子の恋愛への温度差
・小林編集者が耶雲の売り込みに気乗りしない理由と、裏の顔
・木原坂とその姉の朱里、ふたりが子供の頃に殺された父
・2度起こる焼死事件。1度目と2度目は動機が違う
上記を気にしつつ、映画を見ていくと、登場人物の嘘に気づき、途中で事件のからくりに気づくかもしれません。
【すべてが明らかになって残ったものは「愛」】
映画の最後にすべてが明らかになってビックリ! という映画は、これまでも多くありました。『ユージュアル・サスペクツ』や『シックス・センス』、『オールド・ボーイ』などがそうですよね。
日本映画だと『運命じゃない人』。原作が文章トリックのために映画化不可能と言われていたけど大成功した『アヒルと鴨のコインロッカー』もあります。
そしてこの『去年の冬、きみと別れ』も、文章トリックの原作を見事に脚色した秀作。本作は濃厚な愛を感じる映画で、この「愛」が本作の原動力。そして、そのすべてが凝縮されているのが映画のタイトルです。
“去年の冬、きみと別れ……” この言葉に続く言葉があるのです。
それは最後の最後に語られるのですが、真犯人が自身の正義を達成するためにこれまでの自分を捨てた言葉。狂気と言われようが残酷と言われようが、何が何でも成し遂げたかったのです。「愛のために」。
おそらくこの映画は、1度見て結末にビックリしたあと「もう1回見たい」とリピしたくなる映画です。
「あのとき様子がおかしかったよね」「そういえば、あのときいなかったし」など、結末を知ると「そういえば……」といくつかのシーンが思い出されて「ハっ!」とするという。だから再見したくなるんですよ。
これはデートもありだし、女子同士でもありなオールマイティな映画だと思います。サスペンス好きは絶対必見! 気持ちよく騙されてください。
執筆=斎藤 香 (c) Pouch
『去年の冬、きみと別れ』
(2018年3月10日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー)
監督:瀧本智行
出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、北村一輝
(C) 2018映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会
▼映画『去年の冬、きみと別れ』予告編







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