いまもっとも好感度が高いコンビといわれているサンドウィッチマンを筆頭に、バイキング、ナイツ、チョコレートプラネットなどの大人気芸人がビジネス講座を開いてきたのが、NHK Eテレで2018年4月から7月まで放送されていた番組『芸人先生』

お笑いを主戦場としている芸人たちが、自分たちの体験談を交えつつビジネスの基本を企業社員へ伝授するという内容で、笑いの技術をコミュニケーション能力に置き換えるという視点が大好評。

2018年11月21日には、『芸人先生 ~コミュニケーションの達人「お笑い芸人」に学ぶビジネス基礎講座』というタイトルで書籍化されています。

【芸人の武器はそのまま「ビジネススキル」につながっている】

販元の宝島社からが本が送られてきたので読んでみたところ……。内容を一言で説明するならば「ビジネス素人でもわかるビジネス書」といった感じ!

写真や図解も豊富で、おなじみのギャグを盛り込みながら “伝える技術” について伝授しているので、すごく読みやすいです。

さらに、ビジネスコンサルタントの和田裕美さんによる詳しい解説もあります。これによって、芸人のみなさんがそれぞれ持つ “武器” がそのまま “ビジネススキル” につながっていることがわかるんですよね……。

【スベり続けていたバイきんぐの転機とは?】

たとえばお笑いコンビ・バイきんぐは、売れる前はオリジナリティーを追求しようと非現実的なネタばかり作って、スベり続けていたといいます。

転機となったのは、今のままではただの自己満足だと反省して、「誰もがわかりやすい “ベタ設定” を基本にして、切り口を新しくし展開を膨らませる」というスタイルに方向転換したこと。これに加えて

・誰よりもたくさんネタを作って、お客さんの前でどんどん試す
・アイディアを捨てる勇気を持つ
・かわいさの中に “愛すべき欠点” を取りいれる
・いつでも冷静に自分たちを客観視する

といったことを実践してバイキングならではのコントのかたちができあがり、現在のような人気を集めることができたというんです。バイキングのおふたりが実践してきたことって、まさしくビジネスにも通じることですよね!

【ナイツにサンドウィッチマン…芸人が自らの「得意分野」を担当】

そのほかにも、ナイツは、ボケ担当の塙宣之(はなわ のぶゆき)さんが史上最年少で漫才協会の理事に就任した経験を大いに生かして “年上の人の心をわしづかみにする技術” を紹介。

地元の方言をフィーチャーした漫才を展開するU字工事カミナリは、 “ローカル企業ならではのメリット” を。そして今大人気のサンドウィッチマンは、

・冒頭で相手の興味を惹くことをもってきて一気に心をつかむ
・印象深く残る “決め台詞” を用意する

といった独自のスタイルを踏まえつつ、 “勝てるプレゼンの切り口” を伝えておりまして、参考になることは確実です。

【ビジネス以外の場面でも役立ってくれそうです】

とにかく読みやすいので、普段あまり読書はしない人でも気軽に読めると思いますし、大事な項目のみポイントにしてまとめてあるページもあるので、ビジネスにおける辞書のような役割をも果たしてくれるかも?

また “伝える技術” を伝授してくれているということで、ビジネス書として優秀なだけでなく、日常的な人付き合いでも役立つのではないでしょうか。

さらに視点を変えれば、人気芸人のみなさんがいかにして今のポジションを築いたのか、その背景がわかる1冊にもなっているので、いろいろな観点から楽しめる本という印象を受けた次第です。

ビジネスでもっと成功したい人、上手に人とコミュニケーションを取れるようになりたいと願っている人、そしてお笑い好きの人は、読んでみて損はないと思いますよ♪

参考リンク:宝島チャンネル
撮影・執筆=田端あんじ (c)Pouch