南フランスより、ボンジュール!

こちらで暮らしていると「そんなことしていいの!?」「マジですか!?」と、日々驚くことばかり。

日本では知ることのなかった事柄が、ネタの宝庫と言わんばかりに日常のあちこちに転がっています。

ということで、南仏暮らしの中で見つけた、おもしろいことや意外なモノをどんどんお伝えしていきますよ〜♪

本日は、フランスのスーパーなどで見かける “会計前の飲食” に関する、ちょっぴり驚きのお話です。

【買い物中に飲食してる人がいるんですけど!】

スーパーでの買い物中、レジに到着する前に、ちょっと小腹が空いたからお菓子をパクパク。あるいは、ソフトドリンクをゴクゴク。

日本のスーパーだったらお会計前のものを開封するなんて、絶対あり得ない出来事ですよね。しかしフランスでは、ごく普通に見かける日常のひとコマなんです。

そして、会計前の商品を店内で飲み食いしたところで、お店の人に怒られたり、とがめられることなんてありません。

【法律でOKなんです!?】

なんで? ねぇ、なんでなの!?!?

初めて目撃したときは「これ、犯罪じゃない!?」と思ったのですが、実はフランスにはこんな法律がありました。

フランスの民法を定めた通称ナポレオン法典1587条を意訳してみると、

「ワインやオイルなど、購入前に試飲する習慣があるものの場合。テイスティング後、買い手が納得するまでは販売できない」

と書かれています。

「油を試飲ってどういうこと!?」というツッコミがありそうですが、この法律が定められたのは1804年のことなので、かつてはテイスティングして買うものだったのでしょう。

仏財務省が管轄する組織INCによると、

「ナポレオン法典1587条を現代風に解釈したのが、 “購入前の飲食OK” ということ。しかしながら、これは誤解である」

としつつも、「購入前に菓子袋を開封して食べても問題はない」そうです。なんじゃそれ〜!!

【仏スーパーの従業員に聞いてみた!】

この件について、南仏のスーパーで働く友人に話を聞いてみたところ、次のような答えが返ってきました。

“購入前の飲食はしてもいいもの”だと思っていました。店の客はお菓子やジュースだけでなく、果物類、それに店内で焼き上げるパンを食べながら買い物する人も普通にいるし、同僚も上司も何も言わないので、当然のことだと思っていました。え、本当はダメだったの?

スーパーの店員でさえこのように思っているのですから、購入前の飲食は、フランス社会にそれだけ浸透している証拠かも。

【多くのフランス人が勘違いしている】

実はフランス人の友人·知人たちからも「フランスでは購入前に開封してOK」だと聞いていました。あまりにも浸透しているため、仏政府も黙認せざるを得ないのかもしれません。

ただ、量り売りのフルーツを失敬したり、開封したお菓子の箱を棚に戻したりしている人も。これはもちろん犯罪です。

【あなたはどう思う?】

ちょっと複雑な事情を抱えた、フランス社会の会計前の飲み食い。

フランス人の生活に根付いたマルシェ(市場)では、購入前にチーズやフルーツなどを味見してから買う習慣があるので、マルシェとスーパーがごっちゃになっている人が多いのかな……?

今回の取材を通して、そんな気がしてきました。

みなさんは、会計前の飲食について、どう思いますか?

参照元:inc-conso.fr(フランス語)、egifrance.gouv.fr(フランス語)
取材・撮影・執筆:sweetsholic
Photo:(c)Pouch