【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、なにわ男子の西畑大吾さんが主演するホラー映画『忌怪島/きかいじま』(2023年6月16日公開)。『呪怨』シリーズや『恐怖の村』シリーズの清水崇監督作です。
とある島を舞台に奇怪な出来事が次々と起こる、暑い夏にピッタリのホラー映画。では、物語から。
【物語】
天才脳科学者の片岡友彦(西畑大吾さん)が参加するのは、「シンセカイ」というVRチームが島を丸ごと仮想空間にするという研究。
しかし、シャーマン(霊媒師)の棲む島では研究者の男女が謎の死を遂げており、その謎はいまだ解かれていませんでした。
そんな中、亡くなった男性の娘・園田環(山本美月さん)が、父親の遺骨を引き取りに島を訪れます。彼女は片岡と出会い、「父の死の謎を解明してほしい」と依頼するのですが……。
【仮想現実を媒介にして霊が現れる!】
清水監督は「呪怨」で家に宿る霊、「恐怖の村」シリーズで心霊現象が起こる村を描いてきましたが、今度の舞台は「島」。しかも、霊がVRを通して現れるという恐怖を描いています。
その土地の霊がわざわざVRを通して来るのか?と思ったのですが、「シンセカイ」のVR研究をきっかけに怨念の扉が開かれたのです。
【バーチャルリアリティの世界で襲われる恐怖】
本作で現れる霊は、この島でかつて虐げられてきた女性の霊「イマジョ」。
赤い服をまとった彼女は最初、VRの世界だけで存在していたのですが、「シンセカイ」のメンバーが謎を探るうちに現実に現れるようになるのです。
仮想現実の世界で襲われると戻れなくなるし、現実の世界で襲われると仮想現実の世界に引き込まれるし、「もうどうしたらいいのっ!」とハラハラ。解決の糸口が誰も掴めず、この謎は解けるのだろうかと不安な気持ちに……。
そんな異常事態に対峙することになった「シンセカイ」のメンバーはITスキルに長けており、壮大な計画を担っている若者の集まり。でもサークル活動のような気楽な雰囲気があり、そこに若干物足りなさを感じました。堅苦しさがないのがイマドキっぽいのかな?
【西畑大吾、溺れる!!】
主演の西畑さんは非社交的な理系男子の役なので、なにわ男子のときのようなキラキラの笑顔は封印。
また前半は無口・無表情で「シンセカイ」メンバーとの間に距離があったけど、さまざまな恐怖体験を経て、メンバーと信頼関係を結んでいく。西畑さんはその過程をとても自然なお芝居で表現しており、良かった!
若手ジャニーズの中でも芝居に安定感がある西畑さんだからこそ、片岡友彦の変化を演じ切ることができたのではないでしょうか。
いちばんビビったのは、イマジョの謎に真正面から取り組んだ結果、その身が危険にさらされるシーン! イマジョに襲われ海に引きずり込まれる西畑さん、もう「死んじゃう!」と見ていて焦るほどの体当たり演技でしたよ。
【意外な人物が謎の鍵を握る】
誰もとらえることが出来ない「イマジョ」。彼女を退ける方法はないのか……。「成仏できないのなら成仏させてあげないと〜」と思っていたら、後半「え、そうだったの?」という意外な展開に!
島に流れるイマジョ伝説の真実は?その鍵を握っているのは誰なのか? ぜひ「イマジョ」ミステリーを推理しながらて観てください!
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
『忌怪島/きかいじま』
(2023年6月16日公開)
監督:清水崇
出演:西畑大吾(なにわ男子)、生駒里奈、平岡祐太 、⽔⽯亜⾶夢 川添野愛
當真あみ / ⼭本美⽉
配給:東映
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