『ドラえもん』や『キテレツ大百科』などを代表作にもつ藤子・F・不二雄さん。いずれも、「小さな子どもをターゲットにした作品」というイメージが強いけれど、大人向けの作品も数多く手がけています。
今回ご紹介する作品も、そのひとつ! 藤子さんならではの「S=すこし F=ふしぎ」な世界×重たい現実が交錯する、隠れた名作を堪能しましょう。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixアニメ『T・Pぼん』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
なにをやっても平凡な中学生・並平凡(なみひら ぼん)は、ある日友人宅で信じがたい事故に遭遇します。
この出来事をきっかけに、未来からやってきた組織「T・P(タイムパトロール)」の隊員の少女リーム・ストリーム、不思議な生き物ブヨヨンと出会うことに。
T・Pの活動は「歴史に影響しない、不幸な死を迎えてしまった人間を救う」こと。
彼らと関わった人々は記憶を消されることになっていましたが、とある理由から記憶を消されなかった凡は、やむを得ずタイムパトロールの見習い隊員として迎えられるのです。
【ココが見どころ!】
<その1:第1話の衝撃>
子ども向けアニメで、リアルに死が描かれることはそうそうありません。
でもね、本作ではなんと第1話で人が死ぬんですよ。しかも、マンションのベランダから転落してダラダラと血を流しながら……!!
こうした、アニメらしからぬ展開も本作の大きな魅力です。まずは第1話でしっかり免疫をつけておきましょう!
※16歳以上鑑賞が推奨されている作品です。
<その2:大人が興味を惹かれるストーリー>
リームとバディを組んで任務を遂行していくことになった凡は、様々な時代へ行き、あらゆる境遇の人々の命を救うことになります。
けれど、T・Pが救えるのは「歴史に影響しない人の命」だけ。目の前で瀕死の人がいようとも、歴史に影響する人物だった場合は、泣く泣く見捨てなければならないのです。
命を選別するという残酷さ、不条理とも思える出来事に立ち向かいながら、少しずつ成長していく凡。現実の厳しさを痛感させられるストーリー展開こそ、大人が強く惹かれる要素といえましょう。
<その3:おすすめはこの3つ!>
1話あたり約30分×全12話で構成される本作の中で、私がオススメしたいのは次の3つのお話です。
①第8話『戦場の美少女』
1945年、太平洋戦争の沖縄戦において、たったひとりを助ける任務を遂行することになった凡とリーム。戦争で起きるさまざまなことをリアルに描きつつも、ラストには幸せが待っている屈指の名作!
②第9話『バカンスは恐竜に乗って』
後期ジュラ紀にやってきた凡とリームは、恐竜や古代の生物と触れ合いながら、束の間のバカンスを楽しみますが、密猟者と遭遇してしまい……? 恐竜のリアルな描写が最高なので、恐竜好きはぜひ観てほしい。ちょっとした「箸休め」にもなるお話です。
③第12話『超空間の漂流者』
時空間を漂う「タイムトリッパー」を救助しにいくはずが、時空の渦に巻き込まれて遠い未来へひとっ飛び! 真っ赤な太陽と草木のない荒野、マッドマックスさながらの世界で彷徨うふたりをハラハラドキドキしながら見守って。
【ドラえもん的な道具にもワクワク♪】
1978年から連載されたSF漫画『T・Pぼん』が初のシリーズアニメとなった本作。
本作を手がけた藤子先生といえば『ドラえもん』が有名ですが、『T・Pぼん』にも、ドラえもんのひみつ道具を彷彿とさせる様々なアイテムが登場するんです。
時代も場所も飛び越えられる「タイムボート」、記憶を消せる「フォゲッター」、ホテルの部屋のような空間を実現してくれる「空中テント」……。ちなみに、私がいちばん欲しいと思ったのは、おでこにくっつけるだけで教科書の中身がすべて頭に入る「圧縮学習」です!
今年7月からはシーズン2の配信も予定されている『T・Pぼん』。予習もかねて、ひと足お先にチェックしておきましょ♪
■今回ご紹介した作品
『T・Pぼん』
2024年5月2日からNetflixで独占配信中
※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。
執筆:田端あんじ (c)Pouch
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