【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのはハロウィンにピッタリの映画『悪魔と夜ふかし』(2024年10月4日公開)です。テレビ番組の生放送中に起こった怪現象を描いたホラー映画。試写で観ましたが、放送事故レベルのヤバい映像に目が釘付けでした!

では、物語からいってみましょう!

【物語】

舞台は1977年、ハロウィンの夜。テレビ番組「ナイト・オウルズ」の司会者ジャック・デルロイ(デヴィッド・ダストマルチャンさん)は、人気落ち目の番組を立て直そうと必死でした。

この日の放送では悪魔を呼ぶことができるオカルト少女・リリー(イングリット・トレリさん)がゲスト。悪魔を呼び出してもらい、衝撃映像で視聴率アップに貢献してもらおうと計画していました。

しかし、生放送中に大変なことが起こってしまうのです。

【ヤバいゲストに大混乱!】

冒頭、司会者ジャック・デルロイのプロフィールが紹介されます。大人気の司会者だったけれど、だんだん彼の番組の人気は “ジリ貧” 状態になり、今や崖っぷちに立つ司会者。番組スタッフはハロウィンの放送で「悪魔憑きの少女に悪魔を召喚させる」という企画で起死回生を狙います

そしてオカルト少女のリリーが登場するのですが、この子が最初からヤバいんですよ。いきなりカメラを凝視して自己紹介。目力がすごく何かが起こりそうな気配がヒシヒシと伝わってくるのです……。

加えて、彼女のヤバさをより強調するために悪魔を信じない元奇術師が登場します。この男が何かにつけてリリーの悪魔的な力を「こんなんインチキだ」と罵倒。番組がオカルト少女 VS 元奇術師という構図になり、ここから悪魔がどんどん力を発揮していくのです……。

【死者のエネルギーで黒い液体を吐くゲスト!】

実は、オカルト少女・リリーが登場する前から、番組ではおかしなことが起こっていました。

リリーの前に出てきたゲストのクリストゥ(フェイザル・バジさん)は、死者のエネルギーを感じることができる霊聴者。その彼が強い死者のエネルギーを感じて、いきなり黒い液体を吹き出すのです!

普通ならここで番組は中断されると思うのですが、そのまま続行。なぜなら視聴率が爆上がりし、プロデューサーは大喜びでイケイケだったからです。あれを見て危険だと思わないプロデューサーもかなりヤバい人物なのですが、彼は「やらせが成功した」くらいに思っていたのかも。でもやらせじゃないんですよ〜。

【悪魔召喚のとんでも映像!】

司会のジャックはクリストゥの件で戸惑いますが、番組の視聴率が上がっているし、これを機会に再び人気番組に!という欲が勝ち、リリーの悪魔召喚のときを迎えます。

体を拘束されたリリーの身に起こることとは……。ここからはぜひ映画を見ていただきたいのですが衝撃でした! 恐怖映画の金字塔『エクソシスト』で悪魔に取り憑かれたリーガンといい勝負! 怖いもの見たさの好奇心を刺激され、もう目が釘付けでしたよ。

【番組の視聴者気分で楽しんで】

この映画の上手さは、観覧者を入れたスタジオとその舞台裏を同時に見せたことです。司会者ジャックは目の前で起こることに動揺しているけど、人気回復のチャンスを逃したくない。本番中、スタジオの表と裏で主人公はめっちゃ複雑な葛藤を抱えることになるわけです。

その恐怖と焦りが見ているこちらにも伝わってくるから、余計ハラハラするのです。まさにテレビ番組「ナイト・オウルズ」のドキュメンタリーの体で作られたホラー映画というわけです。

70年代の番組のビデオテープらしさを再現した映像、レトロなファッション、美術なども恐怖演出に一役買っていて見応えあり!

ハロウィンにぴったりのドキュメンタリー風のホラー映画『悪魔と夜ふかし』。ぜひ劇場で衝撃映像を体感してください。

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2023 FUTURE PICTURES & SPOOKY PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

悪魔と夜ふかし
2024年10月4日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー
監督・脚本・編集:コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ
出演:デヴィッド・ダストマルチャン、ローラ・ゴードン、フェイザル・バジ、イアン・ブリス、
イングリット・トレリ、リース・アウテーリ