以前、当サイトの記事でも紹介しましたが、この2、3年アメリカではフードトラックという、トラック内部にキッチンのある移動販売ビジネスが人気急上昇中です。

今回はフードネットワークという、食専門のケーブルテレビ局の人気番組『グレートフードトラックレース』で優勝した「The Lime Truckライムトラック」を訪れてみました。

この番組はフードトラックたちが全米を旅しながら、異なる食文化のある土地で、難関なお題(例: その場で出された食材だけで作る/ 作業中にガスが消える、など) をくぐり抜けながら売り上げを競っていくという人気番組。

次々に脱落していくトラック達の中でチャンピオンになったのですから、否応にも期待は高まります。


この日、彼らが駐車していたのはロスアンゼルス郊外、アーバインのオフィス街の駐車場。同じ駐車場には別のトラックも何台か集まっていました。ライムトラックが提供しているのはアメリカンフード。いわゆるサンドイッチやタコスなどですが、地元やオーガニックなどのこだわりの素材を使った、オリジナリティあふれるメニューがそろっています。

今回オーダーしたのは、一番人気のカルニータスフライズ($7=約560円)、PBLTサンドイッチ($8=約640円)、アルティメートタコ($3=約240円)の3品。

カルニータスはスペイン語で豚肉を意味し、このカルニータスフライズはフライドポテトの上に12時間かけてホロホロにしたポーク、メキシコ料理に使用されるクレーマ(サワークリームのようなもの)、自家製ワカモレ(アボカドのディップ)、自家製コールスローとメキシカンチーズがのっています。

クレーマやワカモレ、スモーキーなコールスローをポテトと一緒に口にいれると、クリーミーなテクスチャーとキャベツのシャキシャキ感が一緒になって絶妙なハーモニー。そこにカリっとあがったフライドポテト。う~ん、一番人気なのもうなずけます。フライドポテトという揚げ物にここまでのトッピングでボリュームたっぷりなのに、さっぱり食べられるのはライムの風味がきいたワカモレや乾燥ハラペーニョを燻製したチポレを使ったスモーキーなコールスローのおかげでしょう。

次はPBLTサンドイッチ。PB=ポークベリー(豚バラ肉)L=レタス、T=トマトを挟んだサンドイッチです。豚バラ肉はアジア系や南アメリカ系などのマイノリティの間でよく食べられていましたが、脂=悪と位置づける傾向がある典型的なアメリカ人には避けられてきたのです。しかし近年、有名レストランのシェフ達がこぞって使用するようなったおかげで、最近はグルメなアメリカ人の間では人気の食材となっています。

長時間かけて調理された豚バラ肉。それにルッコラという苦みのあるレタス、トマトがパルメザンチーズをまぶしたサワードウという酸味のあるパンに挟まれグリルされています。大きなバラ肉の固まりに、少々おののきながら一口目をばくり。ぬぬ。これまた完成度が高く、うなってしまうおいしさ!  ゆっくりと時間をかけてとろとろになった豚バラ肉、そしてグリルされて外側がかりっと香ばしいパンが好対照です。

パルメザンチーズのコク、口の中でとけるような脂がのった豚バラ。ひとつ間違えれば、くどくなりそうなコンビネーションですが、飲み物にも手がのびず食べ続けてしまったのは、苦みのあるルッコラ、さっぱりしたトマトが組み合わせてあるから。

アルティメートタコはカルニータフライズのトッピングを小麦粉のトルティーヤで包んだもの。違いはポテトがあるかだけですが、また違った味わいが楽しめました。

いわゆる「屋台」なのにこのレベル、全米一になっただけはあります。このライムトラックに限らず、最近のフードトラックブームによって、屋台レベルからレストランレベルへとフードのクオリティもあがっているよう。いわゆる屋台と考えると値段もお高めかもしれませんが、気軽に立ち寄れて、アメリカならではのチップなどを払わなくても良いことを考えると、消費者にとってもうれしいビジネスなのではないでしょうか。

(写真、文:Mayumi Ueda

▼鮮やかなライムカラーのトラック

▼一番人気のカルニータス・フライズ

▼絶品のPBLTサンドイッチ

▼アルティメートタコ