世の中に時短レシピはたくさんあれど、「そもそも野菜を切るのが大変」と思ったことはありませんか? または野菜を大量に買ってきちゃって悪くしちゃったことはありませんか? そんな経験のある方のために、「野菜の上手な冷凍方法」を、栄養士の先生に聞いてきましたよ!

教えてくださったのは、管理栄養士で、病院勤務等を経て現在は「食から日本を明るくしていくこと」を目指して講師として活躍中の川村郁子さん。では、さっそく紹介していきます。

【栄養価について】
実は、野菜の中には「冷凍によって栄養価がアップする野菜」があるそうです。それはきのこ類。きのこ類は、冷凍すると栄養価(旨味成分であるグアニル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸など)がアップするのですって。

しかし、きのこ類以外の野菜、特に水溶性ビタミン(ビタミンCなど)を多く含むもの(キャベツやほうれん草など)は、栄養価が大きく落ちてしまうそう。ただ、野菜の中には脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)を多く含むもの(にんじんやパプリカなど)もあり、そういったものは冷凍しても栄養価が大きく落ちることはないのだそうです。

つまり、冷凍した野菜を使った料理を作るときには、ちょっと献立に一工夫が必要。冷凍野菜からとれないビタミンCを、生の野菜や果物からとれるように、献立を考えると良いのです。

【栄養価をなるべく損なわない冷凍方法】
ビタミンCなど水溶性のビタミンは冷凍によって大きく損なわれてしまうと書きましたが、損失度合いを最小限に抑える冷凍方法も、川村郁子さんは教えてくださいました。その方法は「急速冷凍」と、「ブランチング」

野菜は冷凍するときに、マイナス18度以下であれば、野菜の栄養素は損なわれにくいと言われているそうです。また、冷凍する時間が短ければ短いほど、栄養価が損なわれにくくなるのだとか。

そのため、家庭での「急速冷凍」の上手な方法は、
○ 冷凍庫の温度設定を「強」にして、冷凍庫をなるべく開けずに素早く冷凍すること
○ 熱伝導率の高い「アルミ」等の金属製のトレイに乗せて、ラップではなくアルミホイルを野菜にかけて冷凍すること
となります。金属製のトレイは、お菓子が入っていた金属製の缶などでも代用できるそう(ただし、よく洗ってくださいね)。

「ブランチング」は、酵素の働きを止めること。実は野菜は酵素の働きによって、日々栄養価が下がっています。冷蔵庫の中で酵素によって栄養価が下がっていくよりも、買ってきてからすぐに「ブランチング」をして酵素の働きを止めて冷凍した方が、栄養価が保たれる場合もあるそうです。

家庭での「ブランチング」の上手な方法は、ずばり「加熱」。さっと熱湯にくぐらせ、その後解凍すると良い野菜がたくさんあるそうです。ただし、加熱しないで冷凍した方がおいしく食べられるものもありますので、注意が必要です。

【活用法・時短料理について】
冷凍野菜は、ビタミンCがとれなくなってしまうというデメリットがありますが、実はメリットもあります。例えばたまねぎ。千切りにして生のまま冷凍しておくと、繊維が壊れやすくなるために、炒めるときに「飴色たまねぎ」が簡単に作れるそう。同じようにトマトも生のまま冷凍しておくと繊維が壊れやすくなるので、「トマトソース」が手軽に作れるようになるのだそうです。

週末など時間があるときに野菜を下ごしらえして冷凍保存しておき、時間のないときにもパパッとご飯を作れる。そんなステキ女子を目指して、記者はうまく冷凍野菜を使ってみようと思います。皆さんも、ぜひやってみてください。

(文、取材、写真=FelixSayaka)

取材協力=川村郁子(http://ameblo.jp/pikaruko/

川村郁子さんと記者が協力して、どうやって冷凍したら良いかを表にまとめてみました。「栄養価」の欄に関しては、大前提として水溶性ビタミン(ビタミンCなど)が損なわれているということをお忘れなく。野菜ごとに「栄養価」に印を付けていますが、○は脂溶性ビタミンがちゃんととれるもの、△は野菜の栄養価として水溶性が多いが、脂溶性もある程度とれるもの、×は野菜の栄養価として水溶性ビタミンが多く、冷凍がおすすめできないものとしています。食感と風味は記者の実感です。

野菜の冷凍の仕方と栄養価、食感、風味、便利な使い方