先日、POUCHのために超かっこいい「ハッピーバースデー」を弾いてくれたフラメンコ・ギタリストの徳永健太郎(21歳)・徳永康次郎(19歳)さん兄弟。二人とも、15歳からスペインに渡り、フラメンコ・ギターの修行を続けています。その実力は、兄弟連続で、日本のフラメンコ関係者にとって登竜門と言われる「日本フラメンコ協会新人公演」で奨励賞を獲得するほど。
お二人の素顔に迫るべく、お話を伺ってきましたよ! お二人、おしゃべりも高感度大! アラサー女子の記者の心をがっちりつかまれてしまいました。おまけに二人で1本のギターを弾くというスゴ技も見せてくれちゃいました。太っ腹! では、さっそくインタビューの模様から紹介します。
—15歳からスペインに渡ったと言うことですが、いつからギターを始めたのですか?
康次郎:父(徳永武昭さん)がフラメンコ・ギターの教室をやっているので、いつも身近にギターがある環境でした。ギターをちゃんと習い始めた時期は、あまりはっきり覚えていないのですが、たぶん健太郎が8歳、ぼくが6歳の頃です。
—小さい頃から、お父様からフラメンコ・ギタリストとしてビシバシと鍛えられたのですか?
康次郎:父は、「練習しろ」などとは全く言わない人で。スペインに行って、自分の弾き方が間違っていることを知ったりするくらい(笑)。
健太郎:最初は村治昇さん(村治香織さんのお父さん)の作ったギターの本で学びました。父は、ギターを楽しんでもらいたいという気持ちが強かったみたいです。
—では、最初から「中学を卒業したらスペインに行こう」と、決めていたわけではないのですね。なぜ、15歳でスペインに行こうと思ったのですか?
健太郎:勉強あまり好きじゃなかったので(笑)、普通に高校へ行こうとはまったく思っていなかったんです。音楽選考のコースがある高校ならいいかなと思ったことはあって調べたのですが、そこで学べるのはクラシックでした。そんな時に、親から「スペインに行くのはどう?」と言われて。それで、フラメンコが好きだし、行ってみようかと思いました。
康次郎:健太郎がスペインに行ったし、僕は普通に高校にいこうと思ったんです。でも、健太郎がスペインに行って、ギターがものすごくうまくなったのを見て、気が変わりました。高校を卒業しても音楽の道に進むなら、今行った方が良いんじゃないかと思ったんです。
—漠然と、小さい頃から「将来は音楽の仕事に就こう」という気持ちがあったのですね。実際にスペインに行ってみて、どうでしたか?
健太郎:中学を卒業してスペインに渡ってから、最初の1年は母(フラメンコ・ダンサーの小島正子さん)の先生の家にホームステイをさせてもらっていました。その先生とは、子供の頃から僕たちがスペインに行く時にはその先生を訪ねて行くし、先生が日本に来る時にはうちに遊びにくるといった感じで交流があったのです。
でも最初はスペイン語も全く話せないし、友達も家族もいないし孤独でした。部屋にこもってギターばかり弾いていました。あんなにギターに向き合ったのは初めてでした。
その後、進学先を決めて、クリスティーナ・へレン・フラメンコ音楽学院に入学し、友達と二人暮らしを始めました。スペインで、人々の生活にとけ込んでいるフラメンコに接して、どんどんフラメンコの魅力にのめり込んでしまいました。
康次郎:僕は、先に健太郎が行っているところに行ったので、孤独はあまり感じませんでした。ラッキーでした。でも、やはり本場スペインでフラメンコに触れるということは大きかったです。
—お二人が感じているフラメンコの魅力とはどんなものですか? フラメンコとは、辛く厳しい生活を強いられてきたヒターノ(ジプシー)が、生活の中で感じた喜怒哀楽などの人生を物語ったもので、自由な生き方を求めたヒターノのように、フラメンコはアーティストの個性が生かされるものだと聞いたことがありますが。
二人:フラメンコは地方によってそれぞれ異なった味わいがあるし、また表す感情によっても色々な表現方法があります。加えて、フラメンコには12拍子とか複雑なリズムがあるのですが、自由にリズムを変えて遊びができるのです。それが楽しいです。ギタリストによっては、単調な音楽をリズムを変えてすごい曲にしてしまうこともあるのです。
重厚な曲からお祭りの曲まで様々な曲があるし、カンテ(歌)があり、バイレ(踊り)があり、学びきれないくらいたくさんのものがあるんです。奥深さに圧倒されます。(……と熱く語り続ける)
—スペインではどんな生活をしているのですか?
健太郎:学校と家を往復して終わってしまう感じです。週末は、誰かの誕生日パーティがあれば行ってギターを弾いたり……。
—フラメンコ三昧ですね。お二人はとても仲が良さそうですが、ケンカはしますか? どんな時にしますか?
二人:します! 曲を作っている時によくケンカになります。
康次郎:他の人には言えないようなことも健太郎には言えるから、「そんなのやりたくない」とか言い合ってケンカします。
健太郎:それでだいたい僕が「じゃあ、もういい! やめよう!」と言っていったんやめて寝て、翌朝また始めるんだよね。(と康次郎さんに)
……とまあ、フラメンコに熱い思いをもちながらも、お二人とも非常に仲が良い様子。康次郎さんは健太郎さんについて「ギターが本当にうまい」と尊敬し、健太郎さんは康次郎さんがいることで「励みになるし、刺激になる」と言っていました。9月22日には、東京での初ライブもあるとのこと。お二人の活躍に今後も目が離せません。
最後に、二人で一本のギターを弾いてくれました。二人で弾いているのに超絶テク。二人の息がピッタリ合っていることがよくわかります! ぜひご覧ください。
(取材、写真=FelixSayaka、動画撮影=株式会社スタジオ・オズ)
取材協力:徳永健太郎&徳永康次郎(徳永武昭フラメンコギター教室)
コメントをどうぞ