突然ですが、みなさん、次のようなシチュエーションを想像してみて下さい。

今あなたは友達との待ち合わせに遅れそうで、町の中を急いで走っています。すると持っていた自分のカバンから、ハンカチが地面に落ちてしまいました。それをたまたま目撃していた人が、ハンカチを拾ってくれ、「ハンカチ落としましたよ!」とあなたを優しく呼び止めてくれました。

その声に気づいたあなたは恥ずかしそうに、ハンカチを取りに行きます。さて、ここで質問です。そのハンカチを受け取る時、あなたは拾ってくれた人に何と言いますか?

きっと多くの人が条件反射的に「すいません」と謝りながら、ハンカチを受け取るのではないでしょうか? かくいう私もこういう状況なら、「すいません」という言葉が真っ先に出てきそうになります。

■日本と海外の言葉の違い
えっ? だからどうしたって? 実はこれ、日本では結構当たり前のことですが、海外ではなかなか見られないことなのです。以前アメリカで生活していた私は、この言葉の文化の違いを強く実感させられました。

例えば自分が落としたものを誰かが拾ってくれた時、アメリカではほぼ必ずと言っていいほど「Thank you!」と拾ってくれた人に言います。そういう状況で「Sorry」なんて言っている人は、一度も見たことがありません。

そう、アメリカひいては欧米では、誰かが自分に好意的なことをしてくれた時は、「Thank you」などの感謝の言葉を言います。一方、日本では「すいません」、「ごめんなさい」という謝罪の言葉を使って、感謝の意を伝える傾向があります。いわば自分をへりくだせ、相手を持ち上げることにより、感謝の気持ちを伝えようとしているのです。

■気持ちは同調する
アメリカ人が「Thank you」と言うのも、日本人が「すいません」と言うのも、根幹にある相手への感謝の気持ちは同じです。でも相手への伝わり方が少しばかり違うのです。

私がアメリカで何かしてもらった時に、「Thank you」と言うと、相手はニコリと笑顔を見せながら「No problem!(どういたしまして)」と返してくれます。やはり相手も「ありがとう」と言われて嬉しいのでしょう。

しかし日本で何かしてもらった時に、「すいません」と会釈をしながら言うと、たいてい相手も「いえいえ」と申し訳なさそうに会釈を返してきます。

■言葉ひとつで人生は変わる
どっちの文化が素晴らしいなどと言うつもりは毛頭ありません。でも私が「Thank you」と言って、相手が笑顔で「No problem」と返してくれるのを見ると、やっぱり自分は「ありがとう」で感謝を伝えていきたいと思いました。そうすることにより、一人でも多くの人を笑顔にできるかもしれないと思ったからです。

そしてそうすることにより、自分自身も幸せにできることに気づきました。「すいません」と言っている時、私は当然のことながら申し訳ない表情をしています。満面の笑みで「すいません」なんて言えません。

しかし「Thank you」と言っている時は、いつも笑顔なのです。そう、やっぱり「ありがとう」という言葉は、相手に自分の感謝の気持ちを伝えようとするとても幸せな言葉なんです。

ですからみなさんも、普段自分が使う言葉のひとつひとつを大切にしてみて下さい。その言葉ひとつ変えるだけで、自分の人生がガラっと変わりますよ!

それではこんなに長々と、自分の体験談や想いを書きつづってしまい、本当にすいま……ではなくて、ここまで読んで下さり、みなさん本当にありがとうございました! この私の人生の教訓が皆さんの幸せな毎日、そして笑顔につながりますように!

(文=パン太)