世界に「karoshi(過労死)」という言葉まで広めた仕事熱心な日本人。世界でもトップクラスの日本の労働時間を見て、「work to live(生きるために働く)」をモットーにしている欧米の人々は、日本人の人生を「live to work(働くために生きる)」と表現したりします。
日本で働いているフランス人の友人も、「日本人って、どうしてあんなに働くのが好きなの? 土日も会社に行くなんて、信じられないよ!」と日本人の働きっぷりに驚いていました。それほど世界から日本人は仕事熱心だと見られているわけですが、見方を変えると日本人は働きすぎだということです。ではなぜ日本人は、こんなに長時間働いているのでしょうか?
■欧米では長時間労働はダメ人間の証!?
そのひとつの大きな理由に、日本社会に広がる「休む=怠惰」という考え方があります。このせいで、「休まずに働くこと=勤勉、真面目」という概念が出来上がってしまっており、「最近仕事が忙しすぎて、昨日なんか3時間しか寝れなかったよ」と長時間労働を自慢する人もよく見かけます。
しかしこの長時間労働、つまり休みなしの労働スタイルは欧米では悪いものとして捉えられています。なぜならアメリカやヨーロッパでは、長時間労働は「仕事効率が悪く、その分長く働かなければならなかった」という証になってしまうからです。よって「昨日仕事で3時間しか寝れなかった」という話は、自分の仕事能力のなさを露呈してしまうことになります。
つまり欧米では労働時間が短いということは、仕事効率のよさを示すプラスのものとして考えられているということです。
■休みたい時に休める社会を
だからといって、日本人も欧米の考え方を真似しなさいとは言いません。しかしもう少し休みを取ることに抵抗を感じなくてもいい環境を整えていった方が、わたしたち一人一人にとって望ましい社会を築けると思うのです。
以前、高校時代の友人と久しぶりに会ったときのことです。彼女は正社員として東京のある会社に勤めているのですが、休みは月7日間しかなく、年間でも取れて3連休が最高だと言っていました。よって、彼女が学生時代大好きだった海外旅行なんていうものは到底無理で、今では旅行と言ったら近場の温泉に行くことになっているようなのです。
そんな彼女が言っていました。「こんなに休みがないとストレスが溜まって、仕事へのやる気が減り、そして仕事の効率までもが下がる。そして仕事が上手くいかなくなって、さらにストレスが溜まる。これはただの悪循環しか生まないよ」と。
彼女にはもちろん有給休暇はありますが、日本に蔓延(はびこ)っている有給休暇を消費することに対する悪いイメージが、彼女の長期休暇を阻止しているのです。やはり、休みたい時は休める環境を日本も築いていくべきです。
今は無理でも、少しずつ社会が「休む=明日効率よく働くための準備」と休暇をプラスのものとして捉えられるよう、まずは個人レベルから意識を変えていくのが最善の案だと私は思います。
ですので、みなさんも考えてみて下さい。休むとは、自分にとって一体何なのかを。
(文=パン太)
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