よく考えると発表内容は特にすごくないんだけど、この人が発表するとなぜかグッとくる。かかった電話の声に、ほれぼれしてしまった。自分がプレゼンする際、内容は良かったはずなのに焦って早口になってしまって、相手に理解してもらえなかった。そんな経験をしたことがある人は多いのでは?
声や話し方が美しいと、得することはいっぱい。イベントごとが多いこれから時期は、普段話さない人と話す機会も増えますよね。ということで、プロに「人に伝わる美しい声の出し方や話し方」を教わってきました。
教えてくださったのはVA BENE代表の一色映里さん。FM愛媛のアナウンサーを経て、都内FM局を中心に、アナウンサー、レポーターを務め、現在はDVDなどのナレーションや司会、話し方の指導などをなさっています。
では、さっそく一色さんが教えてくれたことを紹介しましょう!
■「こんな風に話したい」という、目標を考える
まず大切なのは、目標とする話し方を考えること。「誠実そうに明るく元気に話したい」、「滝川クリステルさんみたいにしっとりと話したい」などと目標を決めましょう。
目標を決めると、それに近づくために人の話し方に意識が向き、周りの人全てが研究対象になります。「あの人の間の取り方、うまいな!」とか「落ち着いた声のトーンで、聞きやすいな」とか。
何事もそうだけれど、意識するのとしないのでは大違い! というわけで、ぜひ目標を定めましょう。
■意識して声を出す
相手にやっと聞こえるくらいの聞きにくい発声をしてしまうと損! 相手にボールを投げるような気持ちで、相手が支障なく聞こえるような声を出しましょう。そのためには、腹式呼吸をしておなかから声を出すことがポイント。
横たわると自然に腹式呼吸になるので、床に寝て「あー」と声を出して練習しましょう。その際、自分にとってどんな高さや声量で声を出すと気持ちが良いのかを確認しておくのもオススメ。
■サ行、タ行、ラ行など、自分が言いにくい言葉を自覚し、練習する
日頃、口の形や発音を意識して話すことは少ないのでは? でも、滑舌が悪いと相手にとっては聞きにくいもの。滑舌を良くする練習にちょうどいいものが、早口言葉です。ただし、早口言葉を早く言おうとするのではただの宴会芸。練習の時は、はっきり伝わるように一音一音丁寧にゆっくり言うことが大切です。
早口言葉をはっきり言ってみると、自分はどんな音が苦手なのかがわかります。苦手を意識すると、その音を話すときにゆっくり気をつけて発声をするようになります。
ということで早口言葉一覧。ア行からワ行まであるので、自分の苦手な言葉を確認しながら、ゆっくりはっきり言ってみてください。できれば、スマホの音声メモ機能などで自分の声を録音して聞いてみるといいですよ!
<早口言葉>
ア行:お綾や、親におあやまりなさい。お志しは有難いが、お心底が恐ろしい
カ行:菊、栗、菊、栗、三(み)菊栗、合わせて菊、栗、六(む)菊栗
サ行:上方僧(じょうほうそう)書写山(しょしゃざん)、社僧の総名代(そうみょうだい)、今日の奏者は書写じゃぞ書写じゃぞ
タ行:この竹垣に竹立て掛けたのは、竹立て掛けたかったから、竹立て掛けたのです。
ナ行:京の生鱈(なまだら)、奈良、生、マナ鰹(かつお)
ハ行:伝染病、予防病院、予防病室、伝染病予防法
マ行:麦ごみ、麦ごみ、三(み)麦ごみ。合わせて麦ごみ、六(む)麦ごみ
ラ行:とろろ芋を取る苦労より、とろろ芋から、とろっとする、とろろ汁を取る苦労
ワ行:お憐れみ(おあわれみ)、お憐れみ、お憐れみ、お憐れみ、お憐れみ
■ゆっくり話して、ちゃんと間を取る
NHKのアナウンサーは1分間に300〜400字のスピードでニュースを読むのだとか。かなりゆっくりですが、聞きやすさを考えた結果がのこのスピードです。私達一般人も、聞きやすく話したいなら、ゆっくり話した方がいいのです。
また、プレゼンや講演など、人前で話す時は、常に同じペースで話すのではなく、ちゃんと間を取ることも大切。一色さんはご自身で考案した、間を適切にとるための「3・5・7のルール」を教えてくれました。
「3・5・7のルール」というのは、3秒、5秒、7秒の間を使い分けるというもの。それぞれの使い方は以下の通り。
3秒:話す内容の切れ目などのちょっとした区切りに使う「間」。しっかり一呼吸をおく。
5秒:話す内容が展開する時などに使う「間」。一呼吸おくことに加えて、聞いている人とアイコンタクトをとるために時間を使う。
7秒:話す前に紹介を受けて登壇するときや、スライドを使った発表で、特に大切なスライドを見せる前後に使う「間」。聴衆のざわめきが収まるのを待ったり、スライドに向けた顔を聴衆の方に戻したりしてから、アイコンタクトをとり、一呼吸をおくことに使う。
いかがでしょうか。話し方はトレーニング次第でどんどん変わるとのこと。一色さんはYoutubeに話し方のコツをたくさんUPしています。美しい声と聞きやすい話しぶりを身につけるために、ちょっと練習してみてください!
取材協力=VA BENE一色映里(http://eri-isshiki.net/)
(取材・文=FelixSayaka)
▼一色さんの、話し方を教えるYouTubeの一例▼
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